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2018 年度 実施状況報告書

第2次世界大戦後のニューヨーク港湾地区の衰退と都市秩序に関する史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 17K03159
研究機関弘前大学

研究代表者

南 修平  弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (30714456)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードアメリカ史 / アメリカ現代史 / ニューヨーク史 / 労働史 / 生活世界 / 港湾都市 / 海運産業 / 海員組合
研究実績の概要

2018年度は昨年度から継続している全米海員労組(NMU)と国際海員労組(SIU)に関する史料調査を集中的に行い、第2次大戦後から約30年の間に生じた海運産業をめぐる世界的変化の中で両労組がいかなる経験をし、その下で働く労働者はどのような影響を受けたかを検討した。海外調査は2017年度末から2018年度初頭、同じく2018年度末から2019年度初頭の2回行い、主にコロンビア大学とニューヨーク公立図書館で史料収集にあたった。前者の主要対象は、昨年度の成果に挙げていた、対立する二つの海員労組が共闘行動をとる契機となった1964年のソヴィエト小麦輸出問題の具体的状況とそれに至る過程であった。後者では調査範囲を広げ、海運産業の劇的変化を象徴する船籍転換問題について、その発生から各方面への影響、それらに対する組合側の取り組みに焦点をあて、第2次大戦後から1970年代初頭のニューヨークを中心とする海運産業と組合の状況を調査した。同時に、本研究がニューヨーク港湾地区の重要な一角と位置付けるニュージャージー州沿岸地区の港湾都市ホーボーケンに関しても調査を始めた。ホーボーケン歴史史料館では館長のロバート・フォスター氏から史料提供を受け、ニュージャージー州沿岸における港湾都市の特徴など貴重な情報を得ることができた。さらに、これらの調査を進める過程で種々の関連資料が国内にも存在することを把握し、2回の海外調査の間に海事図書館、一橋大学経済研究所、東京海洋大学附属越中島図書館でも史料収集に努めた。
調査で得た史料分析の成果は、ソヴィエト小麦輸出問題に関して歴史学研究会大会の近代史部会で報告するとともに、同研究会発行の雑誌『歴史学研究』に論文を発表した。また、調査を通じて産業としての海運研究の重要性を認識したことと関連し、『大原社会問題研究所雑誌』にも労働史研究の在り方についての論文を寄稿した。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に実施計画として挙げていた課題はいずれも予定通りに進めることが出来ている。集中的に収集したソヴィエト小麦輸出問題の関連史料から、海員労組がおかれていた複雑な状況について学会報告とそれを精緻化した論文発表を行い、想定以上の量にのぼっていた海員二労組の史料収集も、一部を残し集められている。国内で入手できる史料についてもそれらを特定し、学期の合間などに複数の図書館を来訪することでおおよそ必要なものが集められている。また、海員労組関連史料の多さから、2018年度内の実施の変更を考えていたニュージャージー州沿岸地区港湾都市の調査も、未だ端緒についたばかりではあるが、当該年度に開始することが出来ている。ただし、同州港湾都市の関連史料を特定し、それらを入手するためには、ホーボーケン歴史史料館館長の話から、関係者とのコンタクトなど様々な事前調査が必要であることが分かっている。まずは先行研究を丹念に追い、二次文献や館長から提供を受けた情報に基づいて、史料の種類とその入手先をしっかりと特定していくことが今後の課題である。

今後の研究の推進方策

2019年度では、まず史料調査に関して、僅かに残っている海員労組関係の史料収集に区切りをつけることが第一である。この作業はこれまで同様コロンビア大学での調査が中心となる。続いて2018年度末に開始したニュージャージー州沿岸地区の港湾都市に関する史料収集を進める。具体的な順としては、まず事前調査を十分行い、史料の種類と入手先を特定する。その上で、年度内に同州沿岸地区諸都市での調査を本格的に開始する。地理的には、ハドソン川やアッパー・ベイをはさんでニューヨーク側の主要港湾地区と対しているホーボーケン及びそれと隣接する諸都市がその対象となる。史料の特定は未だ不十分なため、事前調査は特に重要と考えている。
すでに入手している史料分析については、船籍転換問題に焦点を当てる。この問題はアメリカ人船員の雇用に対する直接的影響はもとより、ニューヨーク港湾地区の衰退やそれによる周辺都市の環境変化など様々な方面に影響を及ぼしているため、労働史を軸としつつ複数の角度から検証を進め、それらの歴史的意味を明らかにする。そしてその成果を順次論文として発表する。また、ここまでの調査で、ニューヨーク港湾地区はニュージャージー州の沿岸諸都市をその中に含みながら、海や河川を介した人とモノの交通によって政治経済面だけでなく社会・文化面でも有機的に機能していることが把握できている。そのことが港湾地区に暮らす人々の関係の在り方にいかなる歴史的変化を及ぼしたかについて詳細な検討を行う必要があり、まずは先行研究を整理し、その上でニュージャージー州沿岸地区での調査で得られる史料分析を徐々に開始する予定である。

次年度使用額が生じた理由

物品購入(書籍)において、当初入手を予定していた複数の文献に発行遅延が生じたこと、他の予算を執行して入手したものがあったことなどにより、やや余剰が生じた。

年度をまたいだ海外調査を行った関係で、2019年度初頭の旅費は当該年度予算から賄われる。2019年度予算の多くは史料調査に伴う旅費に充てる予定であり、秋と可能ならば年度末に計画している海外調査と複数回の国内調査・研究がそれらにあたる。その他は文献資料費や物品購入で使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] アメリカ労働史から捉えた「白人労働者」―「トランプ現象」を読み解くカギとして2019

    • 著者名/発表者名
      南修平
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 725 ページ: 38-52

  • [雑誌論文] 生活世界を捉えるということ―ニューヨーク港湾地区に生きる労働者とその日常2018

    • 著者名/発表者名
      南修平
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 976 ページ: 112-122

  • [学会発表] 生活世界を捉えるということ-ニューヨーク港湾地区に生きる労働者とその日常2018

    • 著者名/発表者名
      南修平
    • 学会等名
      2018年度歴史学研究会大会・近代史部会 生活のなかの労働と社会関係
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      http://hue2.jm.hirosaki-u.ac.jp/html/200000292_ja.html

  • [備考]

    • URL

      https://researchmap.jp/sd051028/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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