研究実績の概要 |
本年は、昨年に続き本研究の一次資料となる文書館収蔵文書を重点を置いて検討を進めた。特に主に以下の成果があった。平成30年8月27日から9月4日まではドイツポツダム市「ブランデンブルク州立中央文書館」で資料番号(BLHA, Rep.2A IIP)の調査と収集を行い、9月5日から10日までベルリン市「枢密プロイセン文化財団文書館」において資料番号(GtAPK, IHA Re.76, 89, 164)の収集を行った。 これらの資料は主に19世紀初頭のブランデンブルク州の教員養成学校関係の資料である。これによってプロイセン改革期から19世紀中葉までの、農村学校の教員養成学校の実態を分析した。これらの資料は特に教員養成学校の設立の背景、養成学校でのカリキュラム、さらに受講生の出身地や身分、年齢に関する重要な情報を含んでいる。 これらによって、農村学校での教育内容や指導方法などが明らかになる。19世紀の初頭において、農村学校では教員たちの地位向上に対する希望が高まり、指導的聖職者を中心に、ブランデンブルクでは教員会議Schullehrer-Konferenzが各地で盛んに開催され、教員の地位や待遇の向上に対する期待が高まっていた。19世紀初頭に各地で生まれた教員養成学校は、このような農村学校教員たちの活動と不可分の関係にあったと考えられる。以上の資料は農村における、教員たちの社会層や教養、アイデンティティなどを知る上で、好個の資料群である。
|