組織に個人としてのトップを置かないという「無頭性」の原則を維持しながら、アテナイ民主政はどのように運営が可能で あったか、また「無頭性」の原則の下で政治におけるリーダーシップはどのような形を取っていたか、という問題を探究した。結論としては、まず民会や500人評議会における立法過程においては個人としての発案者・責任者が明確に意識されていた一方で、行政および司法の場においては、役人集団(アルカイ)および裁判員集団 (ディカスタイ)の意思決定は、一貫して個人としての代表者・責任者を意図的に立てない形式が好まれたことが判明した。
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