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2021 年度 実施状況報告書

19世紀ロシア帝国の文化統合における民族誌学調査の役割に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03166
研究機関上越教育大学

研究代表者

下里 俊行  上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80262393)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード在地知識人 / 地理学協会 / 内務省 / 文化活動
研究実績の概要

ロシア民族誌学におけるフィールド調査の歴史について文献史料の調査をおこなった結果、以下のことが明らかになった。第1に、フィールドワークの調査には、各地域の在地知識人(教師・医師・農学者・聖職者など)が地誌的な調査の枠内で積極的に参加していたこと。第2に、フィールドワークの調査結果は、ロシア帝立地理学協会を通じて、学術的なレビューを受けて、同協会の定期刊行物で公刊されることで、帝国レベルの情報共有がなされたこと。第3に、フィールドワークには、内務省が国内統治の観点から深く関与しており、とりわけ帝国統治に従順でない集団をあぶり出す機能を果たしていたこと、である。他方、ロシア民族誌学における「異教」にかかわる要素は、ロシア正教との関係で、比較的隠蔽されるかたちで言説化の対象になりにくかったこと。「異教」は、むしろ非学術的な文化活動分野のなかで保持されていた傾向があることが明らかになった。その他、ロシア哲学研究における「異教」的要素の影響について、先行研究の分析や19世紀の文献について分析した。その結果として、キリスト教、とくに東方正教を受容する以前のロシア地域の土着の信仰のさまざまな要素が、ロシア正教そのものや、そこから派生したロシア思想、ロシア哲学に少なからぬ影響を与えていた可能性があることが明らかになった。その際、重要なのは、ロシアの文化・思想に内面化されている「異教」的要素を、どのようにして析出することが可能なのか、方法論的な側面での課題があることも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ロシアに渡航して現地調査を実施することができなかったため。

今後の研究の推進方策

次年度もロシアへ渡航して現地調査をおこなう可能性がきわめて低いため、主として文献調査に方向転換して研究をおこなう予定である。可能であれば、フィンランドおよびチェコにて稀覯文献を調査をおこう予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ蔓延のため現地調査を実施することができなかったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] サンクト・ペテルブルク国立大学(ロシア連邦)

    • 国名
      ロシア連邦
    • 外国機関名
      サンクト・ペテルブルク国立大学
  • [雑誌論文] 一八六〇年代のロシアにおける進化論争:「身体」観の分析を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      下里俊行
    • 雑誌名

      ロシア史研究

      巻: 107 ページ: 3-29

    • 査読あり
  • [図書] 〈超越性〉と〈生〉との接続2022

    • 著者名/発表者名
      貝澤哉,下里俊行ほか
    • 総ページ数
      335
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      9784801006249

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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