研究課題/領域番号 |
17K03168
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
堀内 隆行 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (90568346)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 南アフリカ |
研究実績の概要 |
研究の目的は次の通り。「バントゥ系アフリカ人とカラード(ケープタウン周辺の先住民、解放奴隷、「混血」の人びと)の分断は、南アフリカにおいて被支配人種・民族がもっとも大がかりに分割された過程であり、問題は今日もなおつづいている。本研究では、これを20 世紀前半期の左翼政治運動に遡って検討する。より具体的には、共産党が1928 年前後、アフリカ人の民族解放闘争に特化し、1930 年代後半、トロツキストの浸透したカラードの組織化を断念する過程を分析する。また、そのことをとおして帝国主義からアパルトヘイトへの移行、世界的な反アパルトヘイト運動についても展望する。さらに、アパルトヘイト後における左翼政治運動の集合的記憶の問題を扱うことによって、アフリカ人ナショナリストの現ANC(アフリカ民族会議)政権による人種の分断を検討する」。 平成30年度は『異郷のイギリス―南アフリカのブリティッシュ・アイデンティティ』(丸善出版、2018年9月)を出版、「生体認証国家の広がりと限界―20世紀初頭南アフリカ・ケープ植民地の移民法と排華法をめぐって」(『金沢大学歴史言語文化学系論集 史学・考古学編』11号、2019年3月)と書評「川分圭子著『ボディントン家とイギリス近代―ロンドン貿易商 1580-1941』」(『洛北史学』20号、2018年6月)を発表、また2018年12月15日に関西大学経済学会第10・11回研究会で「イギリス史・英帝国史・南アフリカ史をつなぐ」と題して報告した。特に『異郷のイギリス』と研究会報告は、左翼政治運動と直接関係する成果である。その他、南アフリカでも史料調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度は、左翼政治運動と直接関係する成果として『異郷のイギリス』を、当初の計画より1年早く出版できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も史料調査をつづけ、成果を発信していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
南アフリカでの調査が短期間しか実施できなかったため、次年度使用額が生じた。31年度は南アフリカで長期間調査し、調整していきたい。
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