研究課題/領域番号 |
17K03172
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (40304068)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ジェンダー / 戦争 / 抑留 / 捕虜 / シベリア / 収容所 / 記録 / 記憶 |
研究実績の概要 |
平成29年8月5日、「女たちのシベリア抑留」と題して、六稜会館で講演をおこなった。 同年8月9日、南アルプス市在住の元佳木斯第一陸軍病院の看護婦長に聞き取り調査を行い、同氏の写真を撮り、手帳を調査・写真に撮った。 同年9月4日、ハバロフスク市の極東経済大学(国立経済アカデミー分校)で開催された第33回日ロ学術シンポジウムで「抑留された女性たち:満洲からシベリアへ」と題して報告し、内外の学者と知見を交換した。9月5日から17日まで、国立ハバロフスク地方公文書館で日本人捕虜関連文書を調査・閲覧・複写し、ハバロフスク地方、アムール地方、ユダヤ自治州にあった日本人捕虜収容所跡、すなわち、ザヴィタヤ、ライチヒンスク、クリドゥール、ビラカン、チョプロエ・オーゼロ、ロンドコ、ビロビジャン、ロシチノ、オシノヴァヤ・レチカ、コルフォフスキ―、ペレヤスラフカ、ホールで現地調査をおこなった。当時を知る目撃者に聞き取り調査を行い、地方の郷土博物館や図書館で資料調査を行った。9月18日~28日までモスクワのロシア連邦国立公文書館とロシア国立軍事公文書館で日本人捕虜関係文書の調査・閲覧・複写をおこなった。 同年11月2日、高松市在住の元ハルビン陸軍病院の看護婦に聴き取り調査を行った。 平成30年2月16日、岡山市在住の元佳木斯第一陸軍病院看護婦に聞き取り調査をおこなった。同月17日、広島県立図書館の郷土資料課で、「中国新聞」を調査・閲覧・複写した。同月18日、岡山市在住の元佳木斯第一陸軍病院看護婦に聞き取り調査を行い、救護手帳や戦友会の雑誌の調査・複写をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
抑留者名簿はロシアの公文書館や日本の厚生労働省に保管されているが、女性というくくりがないので、膨大な史料の中に散在・埋没していて、その実態をつかむのは容易ではない。しかし、初年後に戦友会の雑誌や名簿からおよそ150人の抑留女性の名簿とおおまかな収容地区を推測することが出来た。それをもとにロシアの文書館の史料と照合を行うことが可能になったため、当初の予想以上に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
第一に国家の政策と地方の実状をンモスクワの公文書館と地方の公文書館の史料でみる。第二に、個別収容所の実態を当局の報告書と抑留者の証言とでみる。第三に男性と女性の語りの違いを見る。第四に、抑留者の証言と世論の動向とのかかわりを見る。今年度は、個別収容所としてはブラゴヴェシチェンスクの調査を予定している。調査の結果は『セーヴェル』第35号に公刊する。
|