研究課題/領域番号 |
17K03172
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 名誉教授 (40304068)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ジェンダー / シベリア抑留 / 女性の戦争動員 / 日ソ戦争 / 東西冷戦 / 戦場の性暴力 |
研究実績の概要 |
6月29~30日に東京大学で開催されたThe 10th East Asian Conference on Slavic Eurasian StudiesでオーガナイザーとしてWomen and War: Mobilization, Internment and Memoryと題したパネルを組織し、「忘れさられた女たちのシベリア抑留」と題して報告し、内外の研究者と知見を交換した。 8月18日~9月6日、モスクワのロシア連邦国立公文書館とロシア国立軍事公文書館で日本人捕虜関係文書の調査・閲覧・複写をおこない、日本学者たちと知見を交換した。9月7日にハバロフクで聞き取り調査と現地調査を実施した。9月8日~13日にハバロフスクとウラジオストクで開催された日露学術シンポジウムに参加し、「新たに発見された文書:女たちのシベリア抑留の解明にむけて」と題して報告し、内外の学者と知見を交換し、沿海地方公文書館、沿海州地方図書館、沿海地方州立博物館で調査・複写をおこなった。ナホトカでは博物館と展示センターで日本人抑留者の展示を見学し、歴史図書館で資料を調査・閲覧・複写し、さらに日本人捕虜関連の施設や墓を調査した。 10月12日と11月9日に、滋賀県平和祈念館の「大人のための歴史教室」で「はじまりは満洲だった」と「女たちのシベリア抑留」と題して講演をした。8月9日~12日、岡山市と広島市在住の女性抑留体験者に聞き取り調査をおこなった。公刊した業績としては、「日本人女性捕虜が見た日ソ戦争直後のハバロフスク」『エセーニン記念リャザン大学学報』62号(露語)、「もう一つのシベリア抑留―女性を中心に」『家族と社会の民族誌と人類学からみたジェンダー』(露語)、「終わらない戦争(5)-女たちの分散・移動」『セーヴェル』第36号がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
女性抑留者の個人登録名簿はロシアの軍事公文書館や日本の厚生労働省に保管されているが、従来個人情報保護の壁があってアクセスできなかった。閲覧可能文書の中にもあることが予想できたので、その調査をすることにした。しかし、膨大な史料の中に散在埋没していて、その実態をつかむのは容易でないことから、まずは抑留体験女性たちの協力をえて戦友会の内部資料で抑留女性のおおよその名簿を作成することができた。それをロシア側の史料と照合することにより当初の予想以上に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
年度末に予定していたロシアの公文書調査と現地調査、日本の外務省外交史料館および国会図書館調査を、コロナ禍のために断念し、延期せざるを得なくなったが、これまでに蒐集した史料や録音テープの整理をすすめることで残された課題をより具体化し、緊急事態が解除された段階ですぐ行動に移せる準備をする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していたロシアの公文書調査と現地調査、日本の外務省外交史料館および国会図書館調査を、コロナ禍のために断念し、延期せざるを得なくなった。ロシアへの渡航制限が解除され次第、文書館調査と現地調査を再開し、国内の公文書館や図書館調査を続行する。
|