2017年度は、「教皇庁の政策」「中世イベリア半島の貨幣」「ムデハルについての研究史の整理」という3つの領域で研究を進めた。その成果は、それぞれ学会報告を行って公表することが出来た。2017年8月23日、同志社大学で開催された西ユーラシア貨幣史研究会では、「中世イベリア半島の貨幣史研究状況について」というタイトルで、イスラーム貨幣も踏まえ、中世イベリア半島の貨幣の変遷について報告を行った。10月15日には、東京外国語大学本郷サテライトキャンパスで開催された第3回国際コロキウム「異なる視野から見たヨーロッパ中世」において、"Las politicas del Papado en los reinos hispanicos en la primera mitad del siglo XIII(13世紀前半のイベリア(ヒスパニア)諸王国における教皇庁の政策)"というタイトルで報告を行った。また、10月29日には慶應義塾大学日吉キャンパスで開催されたスペイン史学会第39回大会において、「文献史学におけるムデハル研究の現状と課題」というタイトルで報告を行った。このように、1年目は多様な側面から研究課題についての分析を進め、2年目以降の研究の基盤を形作ることが出来た。またこの過程で、マドリッド自治大学のアルベルト・カント教授、新リスボン大学のアリシア・ミゲレス教授、カタルーニャ国立博物館のアルベルト・エストラーダ研究主任らとコンタクトを持ち、今後の国際的共同研究につながりうる人脈を築くことが出来た。また、史料となる教皇文書の収集も並行して進めている。
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