ニューファンドランドは1949年にカナダに編入したが,それ以前にも編入に向けた協議は度々行われていた。1867年の「連邦結成」に加わらず,その後も「連邦編入」を見送ってきたニューファンドランドが,1940年代に「連邦編入」を選択したのはなぜだったのか。本研究では,19世紀後半~20世紀中葉の同地の動向を英米加との関係と絡めて分析することで,北大西洋世界の長期的な状況変化の析出を試みた。具体的には,1860年代,1890年代,1930年代の3つ時期に焦点を当て,協議・交渉が「決裂」した要因を探ったうえで,「妥結」をみた1940年代の状況と突き合わせ,北大西洋世界の歴史的動態を描き出した。
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