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2019 年度 研究成果報告書

資本論から贈与論へ―利子の解像力に関する学際的研究―

研究課題

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研究課題/領域番号 17K03185
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
研究分野 ヨーロッパ史・アメリカ史
研究機関大阪府立大学

研究代表者

佐々木 博光  大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (80222008)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード利子 / 資本主義 / 慈善 / 財団 / 公債 / 買い戻し / 非常高利 / 宗教改革
研究成果の概要

中世ヨーロッパのカトリック教会は利子取得を厳禁した。その後ドイツでは16世紀以降年利5%までの利子取得が国法によって認められた。19世紀以降のドイツの国民経済学者の多くが、ここに資本主義経済の胎動を見た。しかしこのような営利衝動と結びついた利子は、あくまでも利子の一面でしかない。基金に発生する利息を慈善目的に利用する財団の存在は、16世紀には遍く知られていた。返済されるのではない、贈与される利子が存在したのである。認められたのは、国民経済学者が考えたような営利の利息であったのか。すくなくともプロテスタントの宗教者たちの議論では、慈善の利息の承認が営利の利息のそれに先行したことが明らかになった。

自由記述の分野

西洋史学

研究成果の学術的意義や社会的意義

ヨーロッパは資本主義経済のパイオニアと考えられた。日本をはじめとする後発先進国にとって、久しくヨーロッパは手本であった。いまや高度な資本主義経済の発展を遂げた日本は、格差の拡大等の社会問題に苦しんでいる。本家のヨーロッパでは同様の問題は日本ほど極端な形では発現していない印象を受ける。ヨーロッパは資本主義の弊害を是正するような仕組みも整えてきた。公益に奉仕するために利息を使う財団がそれである。ドイツでは16世紀に限定付きで利子取得が容認されるが、営利のための利息ではなく、慈善のために利息が相当配慮された。資本主義の弊害を是正する慈善のための贈与経済の存在を明らかにし、その可能性を指摘した。

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公開日: 2021-02-19  

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