研究課題/領域番号 |
17K03189
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
高澤 紀恵 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80187947)
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研究分担者 |
芹生 尚子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70783702)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フランス / 近世 / 絶対王政 / 翻訳 / 鍵語彙 |
研究実績の概要 |
2017年度は不可分の二つの目標を設定したが、いずれも順調に遂行できた。一つはロベール・デシモン、ファニー・コッサンディ著『フランス絶対王政』を共同研究者、連携研究者ら(芹生尚子、林田伸一、佐々木真、小山啓子、正本忍、森村敏己、竹下和亮、松本礼子)の日本のアンシアン・レジーム研究者が専門的知見をもちより共同翻訳する作業である。5月19日・20日、7月2日、9月23日・24日、12月20日、1月27日、3月29日と研究会を重ね、二重、三重に訳文をチェックし、長時間かけて議論を進めてきた。初年度である2017年度は、難解なフランス絶対王政の官職名の統一、ラテン語法諺の訳語の共有など、実際的な研究基盤を作ることに主眼をおいた。これらの作業を通して、本課題の目標である「鍵語彙」の析出は順調に進んでいる。研究者間のコミュニケーションを活性化し、かつ訳語を確定するために、ドロップボックスなどを活用して議論の蓄積を図ってきた。2018年度中に翻訳を完成させ、鍵語彙の分析に取り組む方向が見えてきた。 もう一つの目標は、フランスの日本史研究者との協働である。9月から日本に滞在しているギヨーム・カレ、ならびに11月に来日したアニク・ホリウチらフランスを代表する日本研究者との議論の機会を得た。11月に主催した日仏シンポジウムのための翻訳作業は、「家」「役」「分」など日仏近世社会を理解するうえで重要な概念の析出に有効であった。また、2018年2月、3月に研究代表者(高澤)は渡仏し、ロベール・デシモン、ファニー・コッサンディと議論を重ねて疑問点を解消しえたことも大きな成果であった。その成果は帰国後の研究会でメンバー全員と共有した。また、彼ら以外にも、ソルボンヌのフランソワ=ジョセフ・ルッジウらフランスの歴史家が来日の際には、日本の日本史研究者を交えた議論の場を作り、相互の理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時点では、2017年度に 「グロッサリーの作成開始と語彙の整理。ICUで日仏ワークショップを開催して、フランスと日本の日仏研究者との意見交換」を計画した。それらはすべて完遂することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の研究計画については、申請時点では、「鍵語彙の析出と分析。フランスにおける報告と日本側へのフィードバック」を目標として掲げている。これらの一部はすでに2017年度に着手している。2018年度は、これを進める。2018年5月18日・19日に広島での合宿、9月15日・16日のICUでの合宿を予定しており、この時点までで『フランス絶対王政』の翻訳を完了する予定である。この間析出された鍵概念についての分析に分担して取り組む予定である。 さらに2020年度には、ファニー・コッサンディらを招いたワークショップを日本で行うと同時に、高澤は渡仏してEHESSで成果報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018/1/31~2018/3/27にフランスへ出張へ行ったが、年度末の帰国だったため年度内に旅費の精算ができなかった。 残額は、この旅費に充当する。
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