研究課題/領域番号 |
17K03189
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高澤 紀恵 法政大学, 文学部, 教授 (80187947)
|
研究分担者 |
芹生 尚子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70783702)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 近世社会 / 身分 / フランス / 日本 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
本来、研究申請書に記載した予定通り、二〇二〇年度三月中旬に渡仏しフランスの社会科学高等研究院で三月一六日、一七日に開催される国際研究集会で成果の一端を報告し、フランスの研究仲間(ギヨーム・カレ、ファニー・コッサンディ他)と意見交換をする予定であった。そのための本課題の研究分担者、芹生尚子氏や協力者である佐々木真氏、松本礼子氏、竹下和亮氏らと2019年度中に複数回の集会を開いて準備を進めており、報告原稿も完成していた。しかしコロナ禍のために、直前に渡仏を断念し、パリでの研究集会を延期せざるをえない状況となったことは、まことに残念であった。(そのために、予算を完全に執行できず、一部を2020年度に繰り越さざるをえなかった)。 他方、日本における近世フランス史研究者9名と行ってきたグロッサリーの作成は順調に進んでいる。また、鍵概念を析出するために協働で取り組んできたロベール・デシモン、ファニー・コッサンディ著『フランスの絶対主義―歴史と史学史』(岩波書店、2021年度中刊行予定)の翻訳は完成に近づいている。そのための研究合宿を2019年度秋に行い、濃密な議論を交わすことができた。 さらに、この間進めてきた日仏の日本近世史との協働は、論文集『近世の身分とは何か―日仏の対話から』〈仮題〉として東大出版会から刊行される予定となっている。日本側の原稿が集まっている反面、昨年来のスト、コロナ禍でフランス側の原稿が遅れており、遅延をきたしている状況である。しかし、学問的には豊かに議論が深まっており、2020年度中にその成果を示すことができると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由の一つは、2019年秋からフランス社会、とりわけ学術の世界に広がったストライキで、フランス側協力者が研究室に立ち入ることもままならない状況になったことである。 第二は、いうまでもなくコロナ禍のために、フランスの研究仲間と準備してきた国際研究集会を実現できなかったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
フランスとの共同プロジェクトである論文集刊行に関しては、五月一一日にフランスでのロックダウンが解除されたこともあり、正常化していくものと思われる。 国際研究集会については、当初、九月末に延期をしたが、現時点では開催できるかどうか定かではない。できなかった場合、少なくとも、日本側報告原稿を元に日本側で研究集会(場合によってはZoomで)を開催し、議論を深めていく方策を考えている。2021年3月までに渡仏できる可能性が絶たれた場合は、通訳などの手当をしつつ、Zoom での国際会議を検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度3月中旬に渡仏し、フランスでの研究集会で報告する予定であったが、コロナ禍のために直前にこの国際研究集会の延期を余儀なくされたため。 当初は、2020年9月末にフランスで再度研究集会の開催を予定していたが、現時点では不透明な状況である。ただし、渡仏する可能性が絶たれた場合は、日本近世史の研究仲間と日本で研究集会(場合によってはZoom)を秋に開催し、2020年3月のために用意していた報告を行い、議論を深める計画をたてている。2021年3月まで渡仏できない見通しになった場合には、Zoom での国際集会の可能性を探りたい。
|