研究課題/領域番号 |
17K03190
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
内村 俊太 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90710848)
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研究分担者 |
立石 博高 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (00137027)
宮崎 和夫 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40251318)
高澤 紀恵 法政大学, 文学部, 教授 (80187947)
久木 正雄 法政大学, 国際文化学部, 講師 (20846737)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 複合君主政 / 政治社会 / 副王制度 / 宮廷 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究成果のなかでは、立石博高(研究分担者)『フェリペ2世』(山川出版社)が公刊され、本科研での中核的な分析概念である複合君主政や王朝国家のあり方が具体的な歴史叙述をつうじて示された。また宮﨑和夫(研究分担者)「スペイン帝国のイタリア経営」(『イタリア史2』山川出版社)では、イタリア諸国の統治における副王や宮廷の機能が詳細に論じられた。内村俊太(研究代表者)「16、17世紀スペインにおける政教関係」(『ヨーロッパの世俗と宗教』勁草書房)では、複合君主政を前提とする近世王権と教会との関係の枠組みが提示された。 2017年度に開始された本研究は、2019年度末からの世界的パンデミックの影響により、2020年度まで期間延長した上で完了した。王権と各地域の政治社会の関係を総体的に把握し、スペインとフランスの近世国家の異同を考究するという本研究の課題にとっては、『スペイン帝国と複合君主政』(昭和堂、2018年)を公刊したことが重要であった。全執筆者が本研究メンバーであり、宮廷や副王という複合君主政の統合装置や、アラゴン・ポルトガルに関する地域分析、国家理性の概念分析がなされ、スペイン・フランスの国制比較の基盤が築かれた。その他の研究論文としても、副王宮廷、異端審問制、政教関係などの視点からの研究を蓄積することができた。また専門的な論文にとどまらず、『フェリペ2世』、『歴史のなかのカタルーニャ』(山川出版社、2020年)などの書籍をつうじて、スペイン近世国家の複合的な特質とそれを前提とした王権と各地域の関係について、広く発信することができたと考える。 なお本研究の問題意識・研究状況は、基盤研究B(20H01337)「16、17世紀のスペイン複合国家における公共善をめぐる多元的ダイナミズム研究」に発展的に継承されている。
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