研究実績の概要 |
本研究は、ロベスピエールの言説を検討するだけでなく、ロベスピエールの言説が民衆によってどう受け止められていたのかを検討することによって、ロベスピエールの権力掌握と失墜の問題をパリの「世論」という新たな視角から解明することを目的とした 2023年度は、これまで継続してきた作業に区切りをつけるべく、夏期休暇中に渡仏し、国立文書館などで史料の蒐集と分析をおこなう予定であった。しかし家人が体調をくずしたため、当初予定していたフランスでの史料の蒐集と分析はできなかった。その代わり、前年度には叶わなかったTimothy Tackett, When the King Took Flight, 2003の翻訳を、ティモシー・タケット『王の逃亡:フランス革命を変えた夏』(白水社)として刊行することができた。 研究期間全体を通じて実施した主要な研究成果としては、論文「フランス革命とパリの民衆」によって2017年に、一橋大学から社会学博士の学位が授与されたこと、2018年に『ロベスピエール:世論を支配した革命家』(山川出版社)を刊行したこと、さらに2023年に「テルミドールにおける「ロベスピエール=王」という噂をめぐって」(佐々木紳ほか『歴史の蹊、史料の杜』風間書房)を上梓したことがある。また、拙著『フランス革命とパリの民衆』の書評に対する反批判として「フランス革命をどう考えればよいのか:拙著に関する服部春彦氏の批判をふまえて」(『史学雑誌』第28編第Ⅰ号)、「拙著に関する竹中幸史氏の批判に答えて」(『西洋史学』267号)を公にした。 研究期間内の研究成果として以上の他に、「大西洋世界のなかのフランス革命」(木畑洋一ほか『岩波講座世界歴史15』2023年)、共編著『東アジアから見たフランス革命』(風間書房、2021年)、日本のフランス革命史研究に関するフランス語論文2本、などがある。
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