• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

1707年イングランド・スコットランド合同に関する再検討-新発見史料を用いて

研究課題

研究課題/領域番号 17K03194
研究機関早稲田大学

研究代表者

松園 伸  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60239019)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードスコットランド / イングランド / 国家連合 / 議院手続
研究実績の概要

2020年度は、英国において史料調査、研究者交流、学会報告を予定していたが、すべて感染症問題のために海外渡航ができず、国内での研究のみとなっている。
前年度までにすでに1707年のイングランド・スコットランドの間の国家連合 (Union of England and Scotland 1707 以下「英蘇合同」とする)についての主要な研究文献、刊行された一次史料、手稿史料の解読の多くは終了しているので、今年度は英蘇合同を実現させたイングランド、スコットランド議会における討論、党派抗争そのものではなく、その背景にある議事進行の前例、手続 (parliamentary precedents parliamentary procedures) について徹底した調査、研究を行った。
議会史研究においてこれまで圧倒的な重みを持っていたのはそこでの討論、採決、党派行動であったが、近年、これらの政治行動の背景にある議院手続、そしてこの手続にしたがって会議の進行を進める議院書記の意義が注目されるにいたっている。また規則上は違法であるが、スコットランド議会での議事内容の梗概は、当時勃興しつつあった政治メディアに盛んに取り上げられていた。スコットランドでも16世紀以降議会の運営はしばしば外部の世論に左右されるにいたっており、議院手続は一種の「政治文化」political culture として機能し、世論の動向に対してある程度それに相応する形で変更か加えられ、議会の近代化、能率化に寄与していたのである。現地英国においてもこうしたこの成果は今年度もしくは来年度、英国での英文査読誌への投稿の外、わが国においても単行本の形で出版する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍によって史料調査、学会報告が出来なくなったことはきわめて残念であるが、これまで英国においてもほとんど手つかずであった、スコットランド議会における議事手続の問題について深く研究出来たのは、幸いなことであった。
スコットランド議会は中世における創設当初から一院制議会であり、二院制をとったイングランド議会の議事進行の方法とは根本的に異なっており、その手続面での相違は、議事内容にも大きく反映している。このスコットランド議会における議事手続を中心とした図書を今年もしくは来年に出版する予定である。

今後の研究の推進方策

1707年の英蘇合同に関する未刊行史料の中でも重要性の高いもののうち未見のものは若干ある。感染症問題が終息していたならば早速調査を再開し、英国における英語査読誌に複数の論文を投稿するとともに、わが国でほとんど手つかずであったスコットランド議会政治にかんする単行本を出す。

次年度使用額が生じた理由

世界的な感染症流行のため、当初予定していたした英国における史料調査、学会報告ができなくなったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] 『議会開催要領』Modus Tenendi Parliamentum (A Manner of Holding a Parliament)とイングランド議会史2021

    • 著者名/発表者名
      松園伸
    • 雑誌名

      エクフラシス

      巻: 11 ページ: 105頁 124頁

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「政治文化」から見た新しいイギリス議会史研究 : Modus Tenendi Parliamentumを中心に2020

    • 著者名/発表者名
      松園伸
    • 雑誌名

      西洋史論叢

      巻: 42 ページ: 1頁 14頁

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi