研究課題/領域番号 |
17K03194
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松園 伸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60239019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イングランド / スコットランド / 国家連合 / ホイッグ / トーリ / ジャコバイト |
研究実績の概要 |
1707年イングランド、スコットランド合同、国家連合 (Union) の形成過程、そしてその合同の政治、経済、社会的影響について引き続き研究を継続している。今年度はとくに19世紀英国においてこの国家連合がどのように理解されていたかについて調べている。19世紀はスコットランドにおいて新たなナショナリズムが勃興していく時期にあたる。このナショナリズムは、アイルランドのように過激化、暴力化することはなかったとしても、当時の英国の政党政治に影響を与えている。具体的には二大政党である保守党、自由党が1707年合同をどのように評価していたかについて着目した。とりわけウィリアム・グラッドストン自由党党首、首相は、家系的にもスコットランド人の血を引いており、スコティッシュ・ナショナリズムにはひとかたならぬ関心を持っていた。 このテーマについては令和5年度以降「西洋史論叢」「早稲田大学大学院文学研究科紀要」などの査読誌、また英国の有力査読誌に投稿する予定である。 これまでアソル公爵、ハミルトン公爵、ロクスバラ公爵、ホープトン伯爵、ヒューム伯爵、ジョン・クラーク卿らのアーキビストと緊密な連絡を取ることができ、貴重な未刊行史料のトランスクリプションを得ることができた。、 上記の研究は、これまで続けてきた1707年イングランド・スコットランド合同の研究を総括する意味で、令和五年度(本科研費最終年度)に著作、論文の形でまとめたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の科研費による研究によって、その成果は「西洋史論叢」、「早稲田大学大学大学院文学研究科紀要」などの査読誌に掲載されており、また英国の代表的な歴史学雑誌に投稿を進めている。ただし過去のコロナ禍によって一部重要な未刊行史料が閲覧できないうらみがあった。最終年度である令和五年度は早稲田大学特別研究期間によってロンドンを中心に滞在し、コロナ禍の収拾もあり十分な古文書調査が可能になっている。よって令和五年度末には十分な研究結果が得られると信じる。
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今後の研究の推進方策 |
現在早稲田大学特別研究期間の適用によってロンドンを中心に研究活動を行い、古文書調査を進めている。とくにスコットランドにおいてはアソル公爵、ホープトン伯爵らのアーキビストと連絡を取りつつ、重要史料を閲覧し、最終的に著作、論文に生かしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、現地イギリスにおける古文書調査、学会報告が不可能になりそのための予算が未使用となっている。幸い令和五年度にはコロナ禍がほぼ収拾しており在外研究も復活しており、十全な成果が上げられると信ずる。
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