研究課題/領域番号 |
17K03196
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
河内 信幸 中部大学, 国際関係学部, 教授 (40161278)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文化外交 / 全米芸術基金 / 連邦芸術委員会 |
研究実績の概要 |
アメリカの文化外交は、第二次大戦後に冷戦構造が確立するなかで、ますます活発化することになる。1945年、ハリー・S・トルーマン(Harry S. Truman)大統領は、戦時中の情報機関であったOffice of War InformationとOffice of the Coordinator of Inter-American Affairsの2機関を国務省に移管し、Division of Cultural Affairsと統合して、新たにOffice of International Information and Cultural Affairs(OIC)を設立した。 また、冷戦への不安感が広がるなかで、1948年にUnited States Information and Educational Exchange Act(通称スミス・マンズSmith-Mundts法)が成立した。これは、平時における文化交流を規定した史上初の法律であったが、実際にはソ連のプロパガンダに対抗することを強く意識して制定されたものであった。このスミス・マンズ法により文化交流の管轄機関は再編され、Office of Educational Exchange(OEX)とOffice of International Information(OII)の2つの部署が設置された。OEXは教育を通した文化交流を目的とし、OIIは新聞や放送、さらには映画を通した国際交流を目指した。これらの組織は、1952年に合併してInternational Information Administrationとなった。アイゼンハワー政権のもとでは、大統領政府機関諮問委員会(通称ロックフェラー委員会)が行政機関の改革と再編の提言を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パブリックアートの「公共性」・「社会性」をめぐる研究史をフォローし、パブリックアートの役割と市民社会の変化の関係を把握することができ、パブリックアートの公益性とその論争を知ることができた。そして、連邦施設管理庁(General Service Administration:GSA)による「連邦政府の新築建設における美術プログラム」、全米芸術基金(National Endowment for the Art:NEA) による「公共空間アート・プログラム」の概要を掴むことができた。また、非営利芸術団体の「Americans for the Arts」が 2000 年に設立した「Public Art Network」(PAN)のネットワークにもアクセスすることができた。 その結果、パブリックアートに求められた「公共性」はアメリカ社会の変化とともに推移し、パブリックアートは時代を映す鏡となってきたことが分かった。そして、パブリックアートに関わる セクター、すなわち行政、市民、アーティストなどが「公共性」をめぐって激しい議論を展開し、パブリックアートの社会的意義を問いかけてきたことも分かった。
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今後の研究の推進方策 |
①パブリックアート機関・ネットワークと連携 *アメリカ最大の非営利芸術団体 Americans for the Arts と、そのネットワーク Public Art Network (PAN)との連携 <http://www.artsusa.org/services/public_art_network/> *Public Art Programs Fiscal Years 2001: A Detailed Statistical Report on the Budgets and Programming of the Nation’s Public Art Programs during Fiscal Year 2001 (Americans for the Arts, November 2003, Washington and New York). *National Arts Administration and Policy Publications Database (NAAPPD)の活用 ②ロサンゼルスの調査: 「アートのための%プログラム」条例、「公共事業改良アート・プログラム」・「Arts Development Fee」プログラムの形成 ・コミュニティ再開発公社(Community Redevelopment Agency)と、文化部パブリックアート課 (Department of Cultural Affairs, Public Art Division)の関係 ③連邦施設管理庁(GSA)と全米芸術基金(NEA)への批判検証…アーティスト、市民、行政の役割・機能の再検討
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次年度使用額が生じた理由 |
政府報告書の分析について、1961 年:『文化発展の戦略』 (A Strategy for Cultural Advancement)、1963 年:『芸術と政府』(The Arts and the National Government)などはインタ―ネットを利用することができたし、アメリカ最大の非営利芸術団体 Americans for the Arts と、そのネットワーク Public Art Network (PAN)との連携 <http://www.artsusa.org/services/public_art_network/> もインターネットで図り、初年度としては、計画よりも研究費を抑制することができた。 しかし、次年度は、「連邦政府の新築建設における美術プログラム」(GSA)、「公共空間アート・プログラム」(NEA) の報告書に費用がかかる。しかも、ロサンゼルスの「アートのための%プログラム」条例、 「公共事業改良アート・プログラム ・「Arts Development Fee」プログラムの形成、・コミュニティ再開発公社(Community Redevelopment Agency)と、文化部パブリックアート課 (Department of Cultural Affairs, Public Art Division)の関係についても調査する予定である。
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