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2019 年度 実施状況報告書

植民地朝鮮における考古学的調査研究資料を公開・共有・活用するための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03206
研究機関京都大学

研究代表者

吉井 秀夫  京都大学, 文学研究科, 教授 (90252410)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード考古学 / アジア考古学 / 朝鮮考古学 / 植民地 / 考古学史
研究実績の概要

本年度は、以下の3つの課題について研究を進めた。具体的な研究の進行状況は以下の通りである。
第1の課題は、今西龍旧蔵考古資料の整理である。本年度は、京畿道広州・船里出土文字瓦の総括的な論文を執筆するために梨花女子大学校博物館所蔵品の調査をおこなう予定であったが、諸事情から調査をおこなうことができなかったため、調査および論文執筆は2020年度におこなうことにした。また本年度は、南山大学・上峯篤史准教授と滋賀県立大学・金宇大准教授の協力を受け、石器および金属器の整理作業を進めた。また、考古学研究室の学生・院生と共に、楽浪センの製作技法についての検討をおこなった。
第2の課題は、植民地時代に作成された地形図を通した、朝鮮古蹟調査事業の検討である。本年度は、『朝鮮古蹟図譜』に掲載されている朝鮮各地の地形図の検討と、1918年に濱田耕作・梅原末治が朝鮮各地で発掘調査・踏査する際に携行した地形図の検討を進めた。国立国会図書館所蔵地図との比較を通して、各地形図の測量・製図・刊行時期を特定することができた。また、1910年代の古蹟調査の成果が、朝鮮総督府が製作した第3次地形図にかなり反映されていることを実証的に示すことができた。
第3の課題は、大韓民国の関係機関との対話である。今年度も日韓文化財研究フォーラムの日本側世話人となり、9月に大韓民国・伝統文化大学校で開催された第2回フォーラムで、総括討論の司会・進行を担当した。また、京都大学考古学研究室に所蔵されている朝鮮古蹟調査事業関連資料のデジタル化・共同公開に向けての交渉をはじめる予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大により大韓民国への渡航が困難になったこともあり、具体的な作業は2020年度におこなうことにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年4月より、文学研究科副研究科長と新設された附属文化遺産学・人文知連携センター長に命じられ、文学研究科の改革と予算確保のための行事の企画・運営などに忙殺されることになり、本研究費の事業のために時間を割くことが困難となった。そうした中でも大韓民国の関係機関との交渉を進める準備をしていたが、日韓両政府の関係悪化、および新型コロナウイルスの感染拡大によって、海外出張を断念せざるをえなくなった。

今後の研究の推進方策

当初の研究課題のうち、今西龍旧蔵考古資料については、2020年度内に整理成果の一端を公表できるよう準備を進める。梅原末治旧蔵アルバムの整理については、今後の活用に備えて基本情報の整理完成を目指す。新たにはじめた地形図の検討は、予想以上の成果を上げつつあり、その概要を研究成果報告書や論文などによる公開を目指す。

次年度使用額が生じた理由

「現在までの進捗状況」でも述べたの通り、勤務校での校務が多忙になったことと、大韓民国への渡航が困難になったことが大きな理由である。本年度も副研究科長に再任されたが、新センターの立ち上げ事業は一段落しており、昨年度にくらべれば時間的余裕があると予想している。また、大韓民国の関係機関との交渉は、オンライン式の会議なども活用して実現していくことにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 その他

すべて 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 文化遺産学の新たな展開2019

    • 著者名/発表者名
      吉井秀夫
    • 学会等名
      文化遺産でつなぐ人文知-京都からユーラシア世界へ、原始から未来へ-
  • [学会発表] 「石」からみた朝鮮半島の原始・古代2019

    • 著者名/発表者名
      吉井秀夫
    • 学会等名
      高麗美術館 第140回研究講座
  • [学会発表] 古代東アジア世界からみた加古川の古墳2019

    • 著者名/発表者名
      吉井秀夫
    • 学会等名
      加古川市歴史文化基本構想策定記念連続シンポジウム
  • [備考] 吉井秀夫のホームページ

    • URL

      https://hb3.seikyou.ne.jp/home/Hideo.Yoshii/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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