研究課題/領域番号 |
17K03208
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
光本 順 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30325071)
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研究分担者 |
新納 泉 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20172611)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 弥生墳丘墓 / 古墳 / 三次元計測 |
研究実績の概要 |
1.倉敷市楯築墳丘墓の三次元計測の実施(主担当: 光本順、副担当: 新納泉、研究補助: 岡山大学考古学研究室所属学生) 楯築墳丘墓は弥生時代後期後半の最大規模(推定墳長80m前後)の弥生墳丘墓である。史跡でもある当該遺跡の三次元計測を、関係機関等との協議および手続きを経て、以下のように実施した。①計測の下準備として下草刈り(2017年11月26日、12月10日)。② 基準点座標設定(2017年11月28日): 測量会社により墳丘上と周辺に10数カ所の基準点(ピン)を設定した。座標はGPS測量に基づく。③SfM多視点写真測量(2017年12月10日:19日他): 岡山大学考古学研究室の大学院生を中心に、デジタルカメラによる写真測量を実施。④レーザー計測(2017年12月27日・28日): FARO 社製レーザー・スキャナ、Focus3D を用いたレーザー計測(測量会社による)。計測成果は考古学研究会第64回総会・研究集会(2018年4月21日・22日、岡山)におけるポスターセッションで発表した。 2.古墳時代前期前方後方墳(岡山市津倉古墳)の調査研究(担当: 光本順、研究補助: 岡山大学考古学研究室所属学生) 墳丘形状と編年的位置づけの追究を目的に、第4次となる津倉古墳の発掘調査を2018年2月26日から3月29日にかけて実施した。結果、くびれ部および前方部前端コーナーの形状を確認した。また埋葬施設の調査では竪穴式石室内より倭製鏡1面と鉄製品が出土し、石室の構造に関する知見とともに古墳の時期を探る手がかりを得た。加えて、第2・第3次発掘調査の概要報告を、2017年度末に刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
楯築墳丘墓の三次元計測(SfM多視点写真測量、レーザー計測)および前期古墳(津倉古墳)の発掘調査を完了したため、計画はおおむね順調に進展している。 三次元計測に関し、当初は現地における基準点座標設定およびレーザー計測についても、所属大学の所有機器を用い、研究補助とともに実施する予定であった。しかし作業の効率化等の観点から、測量会社にこれらの作業ならびにデータ処理を委託し、2017年度の三次元計測事業を期間内に遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
1.三次元計測: 弥生墳丘墓ならびに初期の古墳の三次元計測を順次進める。また、計測に際し、遺跡の地権者や地元教育委員会との協議を随時進める。楯築墳丘墓の三次元計測により、SfM多視点写真測量とレーザー計測の双方を実施するための手順や全体の作業にかかる所要時間等について把握した。このことは、本研究により遺跡の三次元計測を進める上での基礎となるものである。またSfM多視点写真測量とレーザー計測の結果に関し、比較検討を進めることで、より高精度な計測方法について検討を行いたい。 2.前期古墳の整理・研究: 津倉古墳のこれまでの調査・研究成果について、2018年度から2019年度にかけて整理・研究し、報告書の形にまとめる作業を行う。 3.弥生墳丘墓と古墳の比較研究: 三次元計測データと発掘調査によるデータを用いて、弥生墳丘墓と古墳の形状比較を行う方法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
古墳の発掘調査にかかる費用の節減の結果、2017年度使用額が予定よりも少額となったため。繰り越し金額は、2018年度の三次元計測および古墳の整理・研究の費用にあてる。
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