研究課題/領域番号 |
17K03209
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村田 裕一 山口大学, 人文学部, 准教授 (70263746)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 弥生石器 / 弥生鉄器 / 石器鉄器組成 / 石器鉄器の地域性 / 地域間関係 / 鉄器化 / 山陰地域 |
研究実績の概要 |
2021年度は,新型コロナウィルス感染症の影響で実施できなくなっている実物観察調査を,改めて実施することを目的として申請した研究期間の再延長の年度にあたる。結果的には,2021年度も目的としていた調査を実施できなかった。このため,研究に大きな進展は見られない。そのような状況ではあるが,基礎研究にあたるデータベースの作成作業は少しずつ進めた。島根県域では,西川津遺跡や矢野遺跡の石器について資料の追加をおこなった。鳥取県域では,青谷上寺地遺跡について石器と鉄器の資料を増補した。また,これまでの研究により,島根県域の遺跡で石器製作と玉作りの間での技術の関連性を指摘することができたことを踏まえ,島根県域での類例の検索をおこない,事例を増加させることはできたが,体系的にまとめるまでには至っていない。鳥取県青谷上寺地遺跡の石器群においても,同様の関連を見出すことができないか検討しているが,十分な成果は出ていない。石川県では,八日市地方遺跡の資料について検討を重ねているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の感染が山陰地域にも広がりを見せるとともに,福岡県下でも終息の方向には推移しなかったことが影響し,2021年度に予定していた鳥取県と福岡県の実物観察調査を結局遂行できなかった。特に鳥取県への実物観察調査は,本研究課題にとって必要不可欠なもので,2021年度に,研究期間延長をおこなって実現に向けて準備を進めたが,結局,予定した調査を実施することができなかった。このため,このような評価とした。 新型コロナウィルス感染症の感染拡大の動向は全く予測しにくく,調査を実施するタイミングを他の業務との関わりで上手く設定することができなかったことが主要因である。
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今後の研究の推進方策 |
取り組みの基本方針は2021年度と同様で,実物観察調査の実施と遺物データベースの充実である。 最大の懸案は,本研究課題の本来の最終年度である2019年度に計画したものの,これまで実施できなかった実物観察調査の実現である。 新型コロナウィルスの動向は現時点で全く予想が付かず,むしろ終息する方向を期待できないため,調査の日程を組み立てることができない。大変苦慮するところである。ここ数年の状況から,新型コロナウィルス感染症の動向を見極めての調査実施は難しいことが分かっているので,2022年度は,年度の前半期から早めの調査を計画したい。 データベースの作業は,2021年度同様に,山陰地域全体についておこなっていく。これは,これまでと同様の目標設定になるが,2022年度は鳥取県・兵庫県・京都府・石川県の作業を発展させる。これにより,より詳細な地域性の解明を目指す。集落間の関係については,地域性を詳細に把握することで,小地域間における地域間関係を整理する。これにより,集落間や小地域間の関係を軸に,隣接する北部九州地域および瀬戸内地域,さらには遠隔地の近畿地方や北陸地方をも含めた広域での地域間関係の分析につなげてゆく。あわせて,このような地域間関係をベースとした鉄器化の進行過程について明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度には,新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため,これまで実施を延期せざるを得なくなっている鳥取県と福岡県への実物観察調査を完了することを計画していた。ところが,その後も新型コロナウィルス感染症は終息せず,上記の調査を完了できなかった。この調査は,研究をまとめていく上での重要な確認調査であり,実施することなしに研究を終了することはできないため,この調査に必要な経費を次年度使用額として繰り越すことになった。 2022年度も,鳥取県と福岡県への実物観察調査を実施することを使用計画とする。
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