研究課題/領域番号 |
17K03222
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
小田木 治太郎 天理大学, 文学部, 教授 (90441435)
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研究分担者 |
廣川 守 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 館長 (30565586)
菊地 大樹 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員 (00612433)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中国北方青銅器文化 / 夏家店上層文化 / 小黒石溝遺跡 / 龍頭山遺跡 / 水泉墓地 / 白家湾遺跡 / SfM-MVS / 蛍光X線分析(XRF) |
研究実績の概要 |
最終年度の本年度も昨年度までと同様、中国内蒙古での出土遺物資料の調査が主たる活動であった。6月23日~29日、日本から小田木・廣川・菊地が内蒙古自治区呼和浩特市の内蒙古自治区文物考古研究所に赴き、共同研究者である曹建恩(内蒙古自治区文物考古研究所所長)・索秀芬(内蒙古師範大学教授)・李少兵(内蒙古博物院研究館員)とともに資料調査を行った。今回の調査対象は内蒙古東南部の夏家店上層文化およびその後続文化に属するものである。具体的には、小黒石溝遺跡・龍頭山遺跡・水泉墓地の計62件を調査した。また調査期間の1日は烏蘭察布市博物館に赴き、李彪(烏蘭察布市博物館館長)を共同研究者に加えて、白家湾遺跡出土品3点の調査を行った。調査は、型式学的観察、実測、写真撮影、SfM-MVS用写真撮影、蛍光X線分析に及ぶ。調査後、これらのデータの整理・解析に多くの時間をかけた。 この間、8月末には、中国西安市で行われたアジア鋳造技術史学会で、本研究の過去2年の研究成果の一部をポスター発表した。現地調査で見出した中国北方青銅器文化の小地域性を取り上げた。 年度の後半は、3か年の研究成果のまとめの作業に専念した。その結実として研究報告書『中国長城地帯青銅器文化遺物の研究 内蒙古編』を刊行した。本書は大きく考察編と報告編からなり、日中の研究参加者全員が執筆した。考察編は、当該地域の青銅器文化の展開、出土遺物の型式学的検討、蛍光X線分析の検討を主な内容とする。報告編は3か年で行った、244件487点のデータを掲載した。全167ページに及び、研究協力者の秦小麗(復旦大学教授)が翻訳に加わってすべてを日本語と中国語の2か国語表記した。 研究全体を通して、中国北方青銅器文化遺物の現地資料調査から、隣接する夏家店上層文化との比較、当該文化内での小地域の問題、中原(戦国・漢)の金属器との関係の検討を進めることができた。
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