カレ・クブ遺跡はイラン東部のビールジャンドから北西140kmにある遺丘である。本研究において試掘調査を行ったところ、この遺跡から1000km以上離れた南メソポタミアのウルク文化の土器群が大量に出土した。 前4千年紀(ウルク期)、南メソポタミアに世界最古の文明が誕生した。しかし、南メソポタミアは巨大な沖積平野であるため、鉱物や貴石などが存在せず、こうした資源を周辺地域から獲得する必要があった。その結果、南メソポタミアの都市国家群は、競って周辺地域に進出し、交易拠点を形成していった。 カレ・クブ遺跡はウルク文化の物質文化が確認された最北東の遺跡であり、最果ての交易拠点であった可能性が高い。
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