本研究では、地球科学の方法と概念を考古学研究に応用するジオアーケオロジーの手法を用いて、河内平野南部の南北7km、東西8kmの範囲内の60の遺跡を対象に、縄文時代晩期から奈良時代の古地形を10時期に分けて復元し、この間の地形発達と人間活動の関係史を考察した。対象地は主に大和川の河川活動により形成された扇状地であり、網状流路を河川形態の特徴とする。この点に留意して各時期の流路を主流路と排水流路に区分し、大和川主流路の変遷や河川活動に伴う地形変化を発掘調査データから復元した。そして、各時期の居住域・生産域・墓域の分布と範囲を復元し、地形条件に適応した土地利用や集落動態を長期的視点で位置付けた。
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