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2018 年度 実施状況報告書

オープンソース・ソフトウェアを活用した統計分析による農業地域区分の方法論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 17K03235
研究機関北海道大学

研究代表者

仁平 尊明  北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードgeography / free software / QGIS / Inkscape / R / GIMP / Scribus
研究実績の概要

昨年度までに、フリー・ソフトウェア(オープンソース・ソフトウェア)を使用して、カナダ・ブリティッシュコロンビアの農業地域区分を実施した。今年度は、その内容を英文にまとめ、学術雑誌に投稿した。タイトルは「Agricultural regions in the province of British Columbia, Canada」である。現在、査読者の意見に対応しながら、修正の途中である。
この研究の意義は、フリー・ソフトウェアを使用して、統計分析と空間分析を実施して、農業地域区分を解明したことにある。従来、このような研究では、有料(商用)の統計ソフトや地理情報システムが使用されてきたが、最近ではフリー・ソフトウェアの性能が向上してきたため、フリー・ソフトウェアでも同様の研究を行えることが分かった。少子化に伴って研究費や人件費が削減されている日本の大学において、フリー・ソフトウェアを使った研究は、今後ますます重要性が高まると予想される。
申請者は、本研究課題の採択後から、フリー・ソフトウェアの検証を続けてきた。そして商用ソフトウェアから、徐々にフリー・ソフトウェアに切り替えていき、本年度末には、全ての作業をフリー・ソフトウェアで代用できるようになった(現在、主に使用しているパソコンに有料ソフトは入っていない)。具体的なフリー・ソフトウェアは、次の通りである。地理情報システムにはQGIS、地図の作成にはInkscape、因子分析やクラスター分析などの統計分析にはR、画像処理とアーカイブ作成にはGIMP、本や雑誌の出版にはScribus、学会発表や書類作成にはLibreOfficeを使うことができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

統計データ(農業センサスのエクセルファイル)と地図データ(統計区のシェープファイル)は、カナダの統計局からダウンロードしたものを使用した。
次いで、統計データから項目を選択して、因子分析とクラスター分析を実施した。最初の分析では、オンラインで統計分析ができるウェブサイトを利用した。しかし、その後、操作の汎用性や外国人研究者にも使いやすいことなどを考慮して、フリー・ソフトウェアのRを使うことにした。分析結果の地図化には、地理情報システムのQGISを使用し、出力された地図を製図するためには、描画ソフトのInkscapeを使用した。
今年度は、これら一連の方法を詳しく説明した論文を投稿した(タイトルは「研究実績の概要」参照)。まず日本語で草稿を作成し、次に英語に翻訳し、さらに校閲に出してから、投稿まで進めることができた。その論文は、査読されて(掲載拒否にはならず)、修正意見が戻されてきており、現在、修正の途中である。以上のことから、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調であると言える。

今後の研究の推進方策

地域区分の方法については、すでに一定の成果を上げていると思う。今後は、これまで私が試してきたフリー・ソフトウェアの利用方法について、学会で発表をする予定である。フリー・ソフトウェアのメリットの一つは、無料であるため、複数のコンピューターへ同時にインストールすることが容易なことである。以前のコンピューターの使用環境は、研究室のメイン・コンピューター(デスクトップ)と、フィールドなどで使用するサブ・コンピューター(ラップトップ)であった。しかし、コンピューターの性能が向上したため、現在は複数のラップトップをメイン・コンピューターとして使用できるようになった(私の専門の場合)。このように情報化が進んだ現在の研究環境において、フリー・ソフトウェアが果たす役割は大きいと考えられる。(このようにして余裕が出た予算については、専門書を購入して図書館に配架するなどしている)
フリー・ソフトウェアのもう一つのメリットは、新しいバージョンに更新をしても大きな変更が少ないことや、以前のバージョンもダウンロードして使えることにある。そのため、一度覚えた操作方法は、かなり長い間通用するので、ソフトウェアの操作方法やインストールに振り回されることなく、研究のためにより多くの時間を使うことができる。現在の巨大化した商用ソフトには「あれば便利な機能」が沢山ついているが、あれば便利な機能は「無くても問題無い」ことに、フリー・ソフトウェアを使っていて気がついた。
今後のもう一つの予定は、フリー・ソフトウェアの検証を続けることである。中でもフリー・ソフトウェアの元祖とも言えるTeXに注目したい。私は博士論文の提出以降Texを使用していないが、その理由の一つに、パッケージが巨大かつ複雑になったことがある。それがシンプルに使えるようになれば、上記のScribusに代わる優れた組版ソフトになると思う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [国際共同研究] Department of Geography and Environment/Jahangirnagar University(バングラデシュ)

    • 国名
      バングラデシュ
    • 外国機関名
      Department of Geography and Environment/Jahangirnagar University
  • [雑誌論文] Understanding climate change vulnerability, adaptation and risk perceptions at household level in Khyber Pakhtunkhwa, Pakistan2018

    • 著者名/発表者名
      Ullah, W., Nihei, T., Nafees, M., Zaman, R. and Ali, M.
    • 雑誌名

      International Journal of Climate Change Strategies and Management

      巻: 10 ページ: 359-378

    • DOI

      10.1108/IJCCSM-02-2017-0038

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Assessing NGOs micro-credit programs: a geo-spatial and socio-economic scenario from rural Bangladesh2018

    • 著者名/発表者名
      Mollah, T. H., Shishir, S., Ullah, W. and Nihei, T.
    • 雑誌名

      International Review of Economics

      巻: (Online First Articles) ページ: 1-21

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s12232-018-0315-x

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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