最終年度に実施した研究成果は、(1)学会での口頭発表、(2)学術論文の修正と再投稿、(3)学術書による公表である。これらは研究期間の全体を通して実施した成果のまとめでもある。 (1)の口頭発表について、すでに地域区分に関する研究発表は前年度までに終了しているので、最終年度は、研究室におけるオープンソース・ソフトウェアの活用方法について報告した。北海道地理学会春季学術大会での発表であり、有意義な発表と質疑応答ができた。オープンソース・ソフトウェアの導入は、現在の社会・経済的な状況からみて、これからの研究室の運営に大きな利益になると考えられる。 (2)の学術論文について、すでに昨年度に投稿して、修正が必要とされたコメントに対応して再投稿したものである。その内容は、研究分担者としてフィールドワークに参加したカナダを対象とした農業地域区分である。査読者からのコメントは、データの選定理由などの詳細なものから、地域区分の妥当性など根幹的な内容にまで及んだが、すべての意見に対応することができた。修正した内容は、再び英文校閲に出した後、再投稿をして、受理が決定した。地理学論集に掲載予定である(英文なのでJ-Stageから誰でも読むことができる)。 (3)の学術書による発表について、『カナダにおける都市ー農村共生システム』というタイトルで農林統計出版から出版したものである(分担執筆)。専門家向けの内容であり、大学の図書館などに配架されるものである(日本語なので学生であればすぐに読むことができる)。地域区分の方法論に関して、これまで続けられてきた因子分析とクラスター分析を併用する方法が、海外の地域研究にも適用できることが分かった。また、この分析をするために、オープンソース・ソフトウェアの操作も詳述されているので、その箇所を参照するだけで、他の地域にもすぐに適用することが可能である。
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