研究実績の概要 |
本研究では、近代日本の経済発展に伴う産業地域形成と、それが経済や社会に与えた影響について、人びとの「生活基盤」に着目して明らかにすることを目的とした。 2019年度は前年度から継続し、2018年度にN.Yuzawa,“Developments in local industry and transformations in daily life: A case study of the shift from cotton to wool in modern-era Bisai, Aichi Prefecture” Japanese Research in Business History,No.35, 2019,pp.53-81.として公表することができた愛知県における織物業史の分析を進めるとともに、アメリカ合衆国織物業史に関する資料収集と分析を進めた。その成果は政治経済学・経済史学会2019年度秋季学術大会における共通論題「生きるについての経済史」で報告した。その内容は論文、湯澤規子「近代産業地域社会における「生活」と「労働」の再編過程-Women’s Educational and Industrial Union, Boston史料による再編主体の日米比較を視野に-」『歴史と経済』(247)、2020年4月、4-17頁として発表した。 産業地域形成が社会や経済に与えた影響について、新たに「菓子」に着目した資料収集に着手した。その中間報告を湯澤規子「日本における製菓業の歴史的展開と地域的特徴:地域の産業と経済という視点から」『人間環境論集』20(1)、2019年12月、19-37頁として発表した。 労働、生活、食、衛生などに関する文献史料収集も継続し、日本と諸外国の比較も含め、近代社会成立期における産業地域形成と生活基盤との関係についての研究の幅を広げることに努めた。
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