本研究は日本統治下の朝鮮・満州を対象として、民間で作成された都市や観光地、広域空間の平面図、鳥瞰図、絵葉書などに関する情報を収集し、データベースを作成することを第一の目的としている。本年度は初年度であるため、資料の調査と収集を主に行った。資料の調査と収集においては、古書店の古書目録を活用し、平面図や鳥瞰図に関しては、予算的に入手可能なものについては可能な限り現物を購入した。絵葉書に関しては、近代朝鮮の絵葉書の集成本(「絵葉書で見る近代朝鮮」全7巻)が2017年に刊行されたためそれを購入した。続いて、研究機関所蔵のものをインターネットで検索し、満州の民間地図に関しては国際日本文化研究センター図書館が数多く所蔵していることが判明した。そのため、同図書館にて資料調査を行うとともに、ハルビンや瀋陽、大連などの都市の民間地図を中心に画像データの提供を受けた。朝鮮半島の近代鳥瞰図については、2017年10~11月に韓国の漢陽大学校博物館にて、吉田初三郎の鳥瞰図に関する展示が行われたことを知り、その展示内容に関する情報の収集を行った。この企画展示は、吉田初三郎の朝鮮半島に関する鳥瞰図を網羅した非常に詳しいものであることが判明した。全体として、朝鮮半島の鳥瞰図と絵葉書、満州の都市の民間地図に関しては、資料の調査と収集がかなり進んだといえる。また、2017年12月には、韓国の文化歴史地理学会大会に参加し、「近代期朝鮮半島に関する鳥瞰図」と題する研究発表を行った。
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