本研究の目的は,人口減少や経済状況,2000年以降の循環型社会形成を推進する取り組み,地域情勢,個人のライフスタイルの変化など,複合的な要因によって減少してきたと考えられるごみの発生・排出とその管理について,総合的な観点から追究することである。2022年度の研究成果を以下に記す。 (1)隠岐の島町におけるごみ排出・管理に関する研究 過年度に引き続き,島根県隠岐の島町をフィールドとして,離島におけるごみ排出・管理,ならびに生活環境に関する調査・研究を進めた。同町は2023(令和5)年度からごみ収集の制度改定が予定されており,制度改定によって想定される成果や課題について検討した。 (2)3R先進地域における施策・取組に関する研究 3R先進地域である鹿児島県大崎町,徳島県上勝町,福岡県大木町において現地調査を実施し,それぞれの地域における施策・取組の特徴を把握し,3地域の共通点・相違点について検討した。いずれの地域でも生ごみの減量化・再資源化において大きな成果を上げている一方,3Rへのアプローチ方法や実施体制などに違いがみられた。 ここからは研究期間全体を通した成果について述べる。研究開始当初は大都市を主な調査対象とし,大都市間比較を通して神戸市のごみ管理・リサイクルの特徴と課題について明らかにするなど,一定の成果を上げることができた。しかし,2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,感染リスクの高い大都市での調査が困難な状況が続いた。そこで調査対象地域を変更し,離島地域として様々な課題に直面していた島根県隠岐の島町や3Rに関して先進的な小規模自治体を重点的に調査し,これらの地域におけるごみ管理の実態やそれぞれの地域における特徴および課題について明らかにすることができた。
|