研究課題/領域番号 |
17K03243
|
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
吉水 裕也 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 理事(副学長) (60367571)
|
研究分担者 |
佐藤 克士 武蔵野大学, 教育学部, 講師 (10706857)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 社会科教育 / 地理教育 / 主権者教育 / 公共空間マネジメント / 公共空間デザイン / まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,初等・中等社会系教科地理的分野において,公共空間のデザイン力および公共空間のマネジメント力の形成を通して,児童・生徒の主権者としての資質・能力を育成するための単元構成および具体的な授業開発を行い,その有効性を実験授業の実践とその分析によって明らかにするものである。 今年度は、社会科におけるまちづくり学習の研究動向を整理し,その到達点と課題を明らかにした。小学校社会科におけるまちづくり学習は,これまでのまちや今のまちが強調されており,これからのまちという未来の視点が弱いことがわかった。また,少子高齢化など予測可能な事象だけではなく,不確実性を組み合わせた未来のシナリオを考えさせる未来予測型授業の必要性が示唆された。中学校社会科におけるまちづくり学習は,認識論的には,まちを所与のものと捉える学習が主流であること,目標論的には,まちづくりに関する知識・理解が中心であり,どのような種類(質)の「問題(課題)」を,どのように取り上げ,どのような方法で生徒に考えさせるべきかという検討が必要であることがわかった。防災に関連したまちづくりでは,まちのハード面とソフト面を組み合わせたまちづくり学習が行われる一方,児童生徒が必要に応じてフィールドでリスクコミュニケーションを行う必要のあることが示唆された。また,持続可能な地域社会づくりのためには,地域の人々の多様性を尊重しなければならない一方,まちづくりの基本は,ユニバーサルデザイン化や,事後的に行われるバリアフリー化に留まるケースが多く,多様性を尊重しなければならいにもかかわらず,個別化ではなく標準化を目指していることから,ユニバーサルデザインに加え,ダイバーシティデザインによる空間デザイン力を社会系教科で育成する資質・能力であると捉えた。さらに,中学校社会科地理的分野での具体的な実践開発が進んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた海外調査を行うことができなかったため.
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度に実施することができなかった調査を実施したい(ただし,感染症拡大の状況によっては他の方法を考える必要がある). 今後は開発した実践の効果を検証したいが,今年度は学校での授業実践の形態がこれまでと大きく変わるため,開発した実践の修正が必要である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外調査が、研究代表者の理事・副学長就任及び感染症拡大のため実施できなかったためである。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で海外調査が引き続き困難なことも予測されるため、テレビ会議を用いた聞き取り等を実施したいと考えている。そのため当初旅費として想定していた分を可能な範囲で物品等の購入等に充てる可能性がある。
|