日本の遊興街(売春街を含む)がどのように形成されてきたのかを,敗戦後に連合国軍が進駐した都市・地域を研究対象として、政治権力やジェンダー、セクシュアリティ、身体の観点から分析・考察した。当時の都市空間は,戦勝・支配/敗戦・従属という国家間の政治レベルの権力関係が表れた場であった。またそこは,進駐軍司令部,地方行政、警察,駐留兵士たち,売春関係の業者や女性たち,地域住民のように,多様な人々の多様な差異から生じた力関係が刻まれた場でもあった。人々の複雑に絡み合った力関係が都市空間に映し出される過程として,遊興街の形成を捉えることができる。
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