研究課題/領域番号 |
17K03255
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
浅妻 裕 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70347748)
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研究分担者 |
福田 友子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (40584850)
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
岡本 勝規 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80311009)
外川 健一 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (90264118)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 立地件数 / 工業立地論 / 自動車リユース / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
当年度は、自動車静脈産業の歴史的展開過程に関する基礎資料の収集を精力的に行った。首都圏近郊エリアの移民企業家によるものを含めた自動車静脈産業へのヒアリング調査と、同地域の職業別電話帳を中心とした史料収集を進めた。東京、千葉、茨城などが対象であり、おおよそ、立地件数の推移を把握することができた。また、2005年の自動車リサイクル法施行後は、ほぼすべての企業が「自動車リサイクルシステム」により捕捉されており、このデータの入手を試みた。データそのものの入手は困難であることがわかったものの、それらを利用した印刷媒体の収集・整理から、ある程度近年の立地件数や、その企業属性(名称等から判断)の変遷が把握できた。 一方、これらをGISデータ化したり分析したりするための手法についても究明を進めた。本研究とは対象は異なるが、いくつかの事例(交通や一般廃棄物の収集等)を対象としてGISを用いた研究を進め、結果として、本研究にも十分適用可能なGISの操作・分析手法について理解を深めた。 理論研究も先行して議論を深めており、ウェバー工業立地論を援用しつつ、代表者らが従来から主張してきた中古品の経済的属性を加味した形で、静脈産業の立地メカニズムを明らかにしつつあり、日本環境学会第44回研究発表会等で報告・議論を深める予定である。 静脈産業の立地と静脈資源の流通は極めて密接な関係にあるが、自動車リユース品の流通に関しては、浅妻・福田・外川・岡本による『自動車リユースとグローバル市場』によって、その歴史的変遷も含めて明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京都、千葉県など、顕著な集積がみられる地域の紙ベースのデータは着実に入手できている。研究に対応したGIS技術についても進展している。定性的データの収集(ヒアリング)も予定通り実施している。理論研究も学会報告で成果発表を行うことが決定している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、自動車静脈産業立地の歴史的展開に関わる基礎資料の収集に注力する。職業別電話帳の暦年版の収集については、現状では関東、北海道に限られているため、他の大都市圏(関西・中京)を中心として収集に努める。同時にこれらのGISデータ化を進める。これまでの調査で市町村レベルでは経年的にGISデータ化できることが判明している(ポイントデータは市町村の代表地点に代替される)。この作業をアルバイト等も利用しながら引き続き進めていく。 定性的なデータ収集のための古参企業への聞き取りも進める。東北地方や北陸地方では個別的な聞き取りに加え、研究計画の「座談会」の準備も進めている最中である。 理論研究については、収集したデータも適宜利用しつつ、日本環境学会、経済地理学会、等の関係学会での学会発表、経済地理学会、学内紀要への投稿を行い、当グループ内にとどまらない議論を深めたい。同時に、本研究では、初年度の研究成果から、輸送コストと集積利益をキー概念とした産業立地メカニズムを追究する方向性を見出しているが、この両概念に関し、収集データを量的に把握するための加工手法(例えば空間的自己相関分析など)について、先行研究も十分に参照しつつ理解を深めていく。 また初年度の研究から、立地メカニズムはその地域が自動車リユース品のグローバル流通の中でどのような位置づけにあるか(グローバル流通構造における各市場の位置づけ)によっても異なってくると理解できた。輸出国である日本はもとより、最終需要地であるロシア、中継貿易地であるUAE、マレーシアなどの各市場の関係を示しつつ、そのことと各地域の立地メカニズムの特徴を関連づけて考察を深めたい。このため当初計画でも触れた東南アジア等での調査もより精力的に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
もっとも経費が掛かるGISソフトについては、採択後の販社のライセンス体系の大幅な変更により、購入を見合わせたため。それに伴い、PCの購入も見合わせたため。また、座談会の開催が次年度に先送りになったため。一方、2018年度実施予定の座談会の調整を進める中で参加者人数がかなり多く謝金・旅費の支出が相当見込まれ、また更なる海外調査が研究遂行上必要になったため、これに重点的に利用したい。
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