本年は申請した研究課題の最終年度となる。研究に必要なデータ等は前年度までに取得しており,本年度は研究結果の整理および成果発表が主たる活動内容となる。当初の最終年度であった2020年に発表予定であった国際学会大会34th International Geographical Congressがコロナ禍により1年延期され,オンラインにて開催された。そこで申請者は本解題を1年延期し,本年オンラインで開催された当該大会において研究成果の発表を行った。 昨年度までの成果はすでに論文として公表済みである。この国際学会大会は,情報ツールの観光への活用可能性を議論するセッションで行われたものであり,昨年度までの成果に加え,特に神楽舞継承団体の代表者の価値観に着目して,インターネットなどの情報技術を活用した伝統芸能の継承についての意識と利活用の実態に関する発表をした。 コロナ禍の影響により現地調査は困難であったが,発表で用いた主たるデータは昨年度までにアンケート調査を実施して得ていたこと,それに加えて調査対象となった神楽舞継承団体のオンラインでの活動を示すホームページや動画サイト,ポータルサイトなどの情報が十分に得られたことから,これらを分析に加えることで,有意義な議論をすることができた。 継承団体のホームページのなかには長期間にわたって更新されていないものがあった。情報技術の利活用は個人の興味関心や知識,技術力に依存する側面があり,継承団体の中でもそれらを得意とする個人に依存している姿が推察された。
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