研究課題/領域番号 |
17K03260
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
季 増民 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (20278237)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高度成長期 / 郊外地域 / 空間構造 / 社会構成 / 変貌 / 新興国 / ヤンゴン大都市圏 / 上海大都市圏 |
研究実績の概要 |
前年同様、令和2年度においては、研究課題である「大規模都市化に伴う郊外地域の変容」研究の「深まり」と「広がり」の同時達成を目指した。 研究の深まりを目指して、中国については、10数年にわたって蓄積してきた資料を系統的に整理し、変化の全容と深層のメカニズムの把握を行った。対象地域である長江デルタにおける都市近郊農村の都市化について、マクロ、メソ、マイクロ3つのスケールにおいて、2000年以前の農村集落時代とそれ以降の都市的コミュニティである居住民委員会時代に変質していくプロセスを整序し、基層空間利用の推移を視覚的に統合し模式化した。 空間利用の推移に合わせて、住民組織、地域管理などの変容についても体系化を試みた。基層空間に戸籍がある戸籍人口の都市化「いわゆる人の都市化」、即ち元農民から市民への詳細な転身過程について、より具体的なイメージが湧くように、出生から定年退職に至るまでの経歴を具体的に解明する。ライフヒストリーや個人生活史というアングルから元農民から市民への変質の全過程を完結し、模式化した。 一方、「広がり」の事例として、ミャンマーの資料を分析し、「高度経済成長期におけるヤンゴン郊外地域構造の変化」のタイトルで公表した。ヤンゴン郊外地域変化研究の主要課題と総まとめ、並びに研究を通じて得た知見を集成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績概要にあるように、令和2年度においては、研究課題である「大規模都市化に伴う郊外地域の変容」研究の「深まり」と「広がり」の同時達成を目指した。 収集した資料の分析と補足調査を通じて、当初の予定通り研究成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ミャンマーについては、引き続き調査資料の整理・分析、現地駐在員や日系企業への聞き取り調査を続け、研究成果のとりまとめ、精緻化と一般公表を図る。 一方、日本のような先進国における郊外地域再生の一環として進められているコンパクトシティ(例えば、山口、青森、秋田、富山、和歌山など)、スーパーシティ(例えば、裾野)、旧工業基地(例えば、北九州など)の再生などの構想について、その実態や課題の把握を行う。これらの調査は、地方の中核都市を中心に計画的に実施していく予定である。 先進国である日本における郊外地域再生の経験と教訓、少子高齢化に象徴される成熟社会に突入後の都市と農村、市街地と郊外の在り方に関する知見は、新興国、後進国にとって地域計画策定の際に大いに活用できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行という不可抗力により、当初予定していた調査は実施することができなかった。 令和3年度は、「今後の研究の推進方策」にある調査計画に沿って調査研究を進めていく予定である。
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