この研究は、1980年代以降に拡大した世界都市論の課題を提示して、その方法論を再検討した。世界都市論は、ニューヨークなどの先進国の大都市政策と多国籍企業論や都市社会論などの学術面の議論が融合して展開した。従来の主な対象都市は、多国籍企業が集中する拠点や世界的観光地などの大都市であった。しかしアジア諸国の経済成長を考慮しつつ、本研究は中国やインドなどの発展途上国の大都市圏を世界都市論の対象に組み込む際の論理を構築した。さらに、従来採用されてきた企業中心の都市の見方それ自体を再検討し、大都市圏居住者の生活に注目する視点を提出した。
|