研究課題/領域番号 |
17K03268
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
山田 嚴子 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (20344583)
|
研究分担者 |
丸山 泰明 天理大学, 文学部, 准教授 (10409956)
仁平 政人 弘前大学, 教育学部, 講師 (20547393)
恩田 睦 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (50610466) [辞退]
小池 淳一 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60241452)
小島 孝夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60286903)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 博物館 / 民具 / 郷土史家 / 高度経済成長 / 文化の資源化 |
研究実績の概要 |
6月24日に共同研究者と顔合わせをし、調査方針、今後の予定について確認した。9月5日、6日に弘前大学に寄託された旧蔵資料群のうち、民具関連資料、経営資料、文学者に関する資料(中河与一関連書簡等)、郷土史家関連資料を再調査し、より詳細なリストを作成した。 10月15日、日本民俗学会第69回年会(於:仏教大学)で山田嚴子が「渋沢敬三影響下の地方民間博物館ー小川原湖民俗博物館の学史的意義ー」と題する発表を行い、高度経済成長期以前に収集を始めた同民俗博物館の博物館史的な意義と、日本において実業家が主導した民間博物館の可能性について論じた。 11月1日~5日には小島孝夫が三沢市に収蔵されている旧蔵資料の民具と調査カードの確認、整理に行き、3日には小池が、4日、5日には山田が合流した。11月25日には弘前大学地域未来創生センターと青森県民俗の会の共催事業、東北6県民俗学合同研究フォーラム「民俗資料の『発見』と新たな『活用』の可能性を探る」が開催され、大学に寄託されている民具と、調査成果をまとめたポスターを一般に公開した。 2018年1月6日には国立歴史民俗博物館において、研究会を開催し、復元した渋沢敬三と博物館創設者杉本行雄の声のレコードと渋沢の葬儀、1周忌の映像を上映し、資料の背景について議論した。7日には『甦る民俗映像』の編者の一人、内田順子氏を招き、渋沢敬三と宮本馨太郎の映像の特徴についての発表をもとに議論をした。 3月7日に宮本記念財団を訪問し、代表者の宮本瑞夫氏と内田順子氏らを交えて映像を確認した。また宮本馨太郎の手帳の記録から葬儀の映像の編集には宮本馨太郎が関与していたことが裏付けられた。3月10日の青森県民俗の会(於:青森市森林博物館)では山田が「小川原湖民俗博物館旧蔵資料における音声・映像資料」と題する発表を行い、青森県民俗の会や行政の文化財関係者などと情報を共有した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
旧蔵資料の整理は順調に進み、映像、音声資料の復元にも概ね成功した。研究会のゲストスピーカーとしてお招きした内田順子氏から、小川原湖民俗博物館に残された映像資料に関わる多くの示唆を得た。また、内田氏のご紹介で宮本記念財団の宮本瑞夫氏と対面がかない、宮本財団に残された記録から渋沢敬三の葬儀の映像に関わる情報が得られたことも大きな収穫であった。旧蔵資料には十和田科学博物館の資料も含まれていることから、民俗博物館に限らず、実業家の主導した地方民間博物館を問題として議論してゆく必要性が確認された。
|
今後の研究の推進方策 |
経営史が専門の分担研究者が、退職のため分担を離れたため、新たに研究協力者を共同研究に招く必要がある。小川原湖民俗博物館の旧蔵資料が寄託もしくは寄贈された各機関とのネットワークの構築については2018年度の課題である。 2018年7月には日本民俗学談話会で研究代表者の山田、研究分担者の小島孝夫、丸山泰明が登壇し、研究分担者の小池淳一の司会で「民間博物館の可能性」と題する発表を行う予定である。丸山が1950年代以降の民間の博物館史を描き出し、「実業家と博物館」「地方都市と博物館」の問題を論じ、山田が渋沢敬三の声のレコードから小川原湖民俗博物館の創設者であった杉本行雄のもう一つの博物館である十和田科学博物館の創設の経緯と地域社会との葛藤を論じ、小島孝夫は地方民間博物館の持つ限界と問題点を論じる予定である。 復元した音声資料は翻字して、公開し、録音の経緯等を調査する方針である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が年度途中で退職し、分担金の返金があったため。来年度開催予定の研究会にお招きするゲストスピーカーの旅費に使用予定である。
|