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2021 年度 実績報告書

「フィリピン英語」の誕生とトランスナショナルな展開に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03272
研究機関筑波大学

研究代表者

鈴木 伸隆  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10323221)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードフィリピン英語 / エスニックビジネス / 英語学校 / 知のモビリティ
研究実績の概要

最終年度に当たる令和3(2020)年度は、コロナ禍で先延ばしになっていた学術誌への投稿・掲載が実現し、学会研究大会での発表も2回行うなど生産性が高いものとなった。他方コロナ禍で現地調査が実施できなかったため、最終年度の当初の課題である「英語学校の内と外」を対象とすることは叶わなかった。そのため、それまで実施したテーマと関連あり、国内にいながら発展性のあるものとして、グローバルなスキルとしての英語力修得がどのようにフィリピン国内の社会的断絶を生む結果となったかを検討した。英語学校での学習者は海外からの若者であり、彼らにとって、英語力習得はあくまでも自己実現のためであった。しかし、そうした留学熱はフィリピン英語の商品化を加速させるだけでなく、フィリピン国内で多くの英語教師としての雇用を創出し、地域振興(観光、サービス業、不動産業)といった多大な経済効果ももたらした。別言するとフィリピン英語はフィリピンに経済的なエンパワーメントをもたらしただけでなく、外資系のコールセンター産業誘致することにもつながり、同国を「アジア最大の知の集積地」へと変えたことを意味する。以上のことから、韓国・日本を含む若者が途上国フィリピンで英語学習するというイノベーションは、「英語化するアジア」の一部に過ぎず、より多角的多面的に検討する必要がある。現代フィリピンの成長を牽引する「フィリピン英語」は、「知をめぐる新しいモビリティ」を生み出し、東南アジア全体で展開する大きな多元的なグローバリゼーションと共鳴しながら、その裾野を拡大させている。英語を母語としないフィリピンへの知と連関したトランスナショナルなモビリティが、アジア変革の契機となっており、このような動向は過去になかったという意味で注目に値する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A Return to English for Global Competitiveness: Monolingualizing the Bilingual Nation in the Postcolonial Philippines2022

    • 著者名/発表者名
      Nobutaka Suzuki
    • 雑誌名

      People and Culture in Oceania

      巻: 37 ページ: 51-61

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評論文:急成長するフィリピンコールセンター産業と労働者の日常生活2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸隆
    • 雑誌名

      東南アジア 歴史と文化

      巻: 50 ページ: 44-63

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評:Writing History in America's Shadow2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸隆
    • 雑誌名

      東南アジア 歴史と文化

      巻: 50 ページ: 130-134

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本のネパール人留学生と移住インフラストラクチャーーネパールの国際教育産業斡旋業者と日本の日本語学校の協働関係に着目してー2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸隆
    • 雑誌名

      移民研究年報

      巻: 27 ページ: 35-47

    • 査読あり
  • [学会発表] グローバルな競争力のための英語回帰: フィリピンにおけるバイリンガルな国民を単一言語化すること2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸隆
    • 学会等名
      日本「アジア英語」学会 第48回全国大会
  • [学会発表] グローバルモビリティー時代におけるフィリピンのエスニックビジネスーフィリピン・ルソン島北部バギオ市の韓国系英語学校を事例としてー2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸隆
    • 学会等名
      第6回日本移民学会冬季研究大会

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公開日: 2022-12-28  

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