研究課題/領域番号 |
17K03276
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
上村 明 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (90376830)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ブリコラージュ / モンゴル / 牧畜社会 / ヒップホップ |
研究実績の概要 |
今年度は、本科研によるコロナのため現地調査が行われず、研究費の執行はなかった。 現地調査にかわり、インターネット上のコロナに関するネット新聞やSNSの投稿を収集する作業をおこなった。これは、コロナの世界的感染とモンゴル政府の取った政策に、ひとびとがどのように対応し、どのようなあたらしい社会状況を生み出しているか、明らかにしようとするものである。コロナ感染は、世界的なものであり、各国がそれぞれに対応している。そのなかで、モンゴルの牧畜社会、あるいはモンゴル社会全体の対応に特色は見られるか、そこに本科研のいうブリコラージュ性は反映しているか、という観点による調査をすすめている。この調査は、まだ事実関係の整理の段階にあり、現地調査もおこなったうえで、成果を発表する予定である。 これまで何度か研究発表を行ってきた、本科研に関わるテーマのひとつが、モンゴル・ヒップホップである。ヒップホップというジャンルは、そもそもアメリカでの成り立ちからブリコラージュの産物そのものといえる。モンゴル・ヒップホップは、さらに幾重にもブリコラージュを重ねて、モンゴル社会に浸透してきた。これまでの研究では、この過程について、音楽的要素の「リミックス」の観点から論じてきたが、現在は、モンゴル・ヒップホップがポップスとどう自己を対比させ、その立ち位置を定めているのかに注目している。モンゴルのラッパーたちやその支持者たちは、ホップスを言わば仮想敵としてきた。その論理について、今後成果を発表する予定である。 さらに、自然環境とコロナを含めた社会状況がどう絡み合い、牧畜の移動を決定するのかという本研究の中心的なテーマについても、論点を整理しつつ、あたらしい成果の発表を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナにより予定していた現地での調査が行われなかったことが主たる理由である。そのため、これまでの調査の整理と、インターネット上での調査のみ可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
自然環境と社会状況がどう絡み合い、牧畜の移動を決定するのかという本研究の中心的なテーマについて、今年の夏に現地調査を行い研究をすすめる。調査には、コロナの世界的感染とモンゴル政府の取った政策、それにひとびとがどのように対応し、どのようなあたらしい社会状況を生み出しているか、そこにはモンゴルの牧畜社会、あるいはモンゴル社会全体の特色としてのブリコラージュ性が現れているか、という観点を加える。 モンゴル・ヒップホップに関するインタビューを行う。ラッパーたちが、ポップスと自己をどう対比させみずからを位置づけ、それによってなにを目指してきたのか調査する。 またあたらしいテーマとして、コロナの時代Youtubeなどで広がった、パフォーミングアーツのかたちにも注目する。とくに、ダンスの投稿に焦点をおく。コロナ禍による外出制限、その反動としての国内旅行の流行、ナーダム開催式の代替として制作された芸能クリップ、これらが絡み合った結果として、ダンス投稿の広がりが起こっている。当事者たちにインタビューを行い、ブリコラージュとしてこの現象を説明することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより予定していた現地での調査が行われなかった。2022年度に現地調査を行う予定である。
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