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2021 年度 実施状況報告書

ジャカルタにおけるバリ芸能の民族誌―宗教間・民族間の交渉と相互理解を焦点に

研究課題

研究課題/領域番号 17K03277
研究機関東京外国語大学

研究代表者

吉田 ゆか子  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (00700931)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードバリ芸能 / ジャカルタ / 場所性 / バリ・ヒンドゥ教 / イスラーム / 越境 / ムーブメントスケイプ
研究実績の概要

本年度も現地調査は叶わなかったが、オンライン調査を継続し、また論文や口頭発表として、国内外に向けてこれまでの成果を報告することができた。
COVID-19のパンデミックをうけて、芸能において人々が集い場を共有することや、芸能が周囲の物理的社会的環境と結びつきながら発展してゆくことについて考えることの重要性は増している。本年度は、Movementscape of A Hindu Temple in Jakartaと題した口頭発表をInternational Council for Traditional Musicの東南アジア部会PASEAにて発表した。サウンドスケープならぬムーブメントスケイプという概念を用いながら、ジャカルタにおいてバリ芸能が、周囲の物理的環境や、マジョリティーであるイスラム教徒たちの宗教実践、そして都市の生活様式と絡み合いながらユニークなかたちで発展をしていることを、一つのヒンドゥ寺院を事例にしながら論じた。
芸能の場所性を対象とするそうした考察は、芸能が場所を移動してゆく「越境」の問題ともかかわってくる。本年度は、芸能の越境について楽器を中心に考察した論考「楽器との出会いとしての音楽の越境 : 日本のバリ・ガムラン演奏グループを事例に」を、『国立民族学博物館研究報告』46(2)に発表した。これは主に日本でバリ・ガムラン音楽を実践する団体を対象にしているが、本科研プロジェクトが明らかにしたジャカルタにおけるバリ・ガムラン音楽の受容の事例も比較対象として参照した。
また2020年度に行ったジャカルタのムスリマ達のバリ芸能実践における衣装の働きについての口頭発表の内容は、アジア・アフリカ言語文化研究所よりプロシーディングとして出版した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19のパンデミックの影響により調査計画が予定通りには進行しなかった。オンライン調査では、引き続き現地の舞踊団の活動状況について情報収集しており、そのなかで新たに得られた知見はあるものの、現地調査は延期となったままである。
研究成果のアウトプットの方は比較的順調であり、本年度も国内外で論考を発表することができた。

今後の研究の推進方策

ジャカルタとバリを訪れ、これまでの聞き取りの内容の確認や、現地におけるここ2年の動向について追加の調査を行う。ここ2年はオンラインで現地の様子を調査し現地の状況について把握するよう努めてきたが、現地調査ではオンライン調査で見えてこなかったどのような側面があるのかについても考えてゆきたい。また、これまであまり調査できなかったモスクや教会におけるバリ芸能の利用、そしてヒンドゥ教寺院とモスクや教会の関係について調査したい。また結婚式におけるバリ芸能の利用については調査が中断していたため、データを追加で収集する。なおもし可能であれば、スラバヤのヒンドゥ教コミュニティーも再訪し、2018年度に調査した奉納舞踊ルジャン・レンテンの流行のその後について追加で情報収集したい。

次年度使用額が生じた理由

現地調査のためにインドネシアへ渡航できなかったため。

備考

Proceedings of International Symposium "Performing the Self and Playing with the Otherness: Clothing and Costuming under Transcultural Conditions"

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 楽器との出会いとしての音楽の越境 : 日本のバリ・ガムラン演奏グループを事例に : <特集 : 「上演を紡ぐ人とモノ : マテリアリティの人類学と上演芸術の研究の交差点」>2021

    • 著者名/発表者名
      吉田 ゆか子
    • 雑誌名

      国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology

      巻: 46 ページ: 311~348

    • DOI

      10.15021/00009854

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Movementscape of A Hindu Temple in Jakarta2021

    • 著者名/発表者名
      Yukako Yoshida
    • 学会等名
      The 6th Symposium of the International Council for Traditional Music, Study Group on Performing Arts of Southeast Asia
    • 国際学会
  • [図書] Proceedings of International Symposium "Performing the Self and Playing with the Otherness: Clothing and Costuming under Transcultural Conditions"2022

    • 著者名/発表者名
      Yukako YOSHIDA, Ranny RASTATI, Manami GOTO(eds.)
    • 総ページ数
      46
    • 出版者
      Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies
    • ISBN
      978-4-86337-366-2
  • [備考] プロシーディング"Performing the Self and..."

    • URL

      http://coe.aa.tufs.ac.jp/kikanjinrui/Performing_the_Self_and_Playing_with_the_Otherness.pdf

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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