研究課題/領域番号 |
17K03281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
朝田 郁 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任助教 (00780420)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハドラミー / ザンジバル / アラブ首長国連邦 / 移民 / ネットワーク / エスニシティ / 母語 / イスラーム復興運動 |
研究成果の概要 |
本研究では現代のインド洋西部地域を対象に、ハドラミーと呼ばれるアラブ移民による越境活動の背景を解明した。まず、移民ネットワークが網の目のような構造を取っており、人々の移動も多方向的であることを明らかにした。次に移民コミュニティについて、ハドラミーとしてのエスニシティと同郷意識が混在した形で、移民社会が立ち上がっていることを見出した。また宗教的な価値観について、旧ホスト社会では世界的なイスラーム復興現象の影響が観察されるものの、新ホスト社会においてはその動きが兆候に留まることを明らかにした。さらに母語としてのアラビア語には、移民コミュニティにとって統合と分断の相反する側面があることを解明した。
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自由記述の分野 |
イスラーム地域研究
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ハドラミー移民と同様、学問分野を「越境する」研究である。インド洋におけるハドラミーの移住活動を把握するには、ネットワークの両端を追う必要がある。しかし、この問題意識を持つ研究は限られ、イエメンを中心に東南アジアに触れたレベルに留まる。本研究では、インド洋西部地域を連続的に扱うことで、アラブを対象にしながらも中東とアフリカに分断されていた地域研究を統合した。そして、新旧ホスト国間のネットワーク形成に対する多角的な検討を通して、枠組みの提唱に留まっていた移民のディアスポラについて、今日的な姿を描き出した。その成果は、インド洋海域世界における人々の動態について、研究上の道を拓いたといえる。
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