研究課題/領域番号 |
17K03282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
王 柯 神戸大学, 国際文化学研究科, 名誉教授 (80283852)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 香港 / イスラーム / 改宗者 / 相対的貧困 / 一国二制度 / 社会周縁 / 民主化運動の弾圧 / 自由からの逃走 |
研究成果の概要 |
本研究は香港の一部の華人市民がイスラームに改宗し、自ら社会の主流にある漢民族集団から社会周辺にあるイスラーム社会へ移動することを事例に、民主主義が後退しつつある社会において、相対的貧困の深刻化に伴い、社会の周辺に置かれた一般市民、とくに若者が現実の社会に嫌味がさし、心の救済を求めるようになったという社会心理の存在を突き止め、しかし、無力感、孤独感、不安感と劣等感を持つ社会的弱者と「(与えられた)自由の重荷」を感じる青年が「逃避」できる「聖なる空間」は、信仰の自由と言論の自由が保障されている政治体制のもとにしかしあり得ないものであることを明らかにした。
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自由記述の分野 |
中国近代思想史、民族主義と民族宗教問題
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、人間はいかなる条件と社会的背景のもとで、みずからマジョリティである社会的地位を捨ててマイノリティになる道を選ぶようになる法則を、政治学・社会学・宗教学・心理学の側面から突き止めることである。 本研究の社会意義は、経済格差によって社会的周縁に置かれた人々のなかに、社会の激しい変動期において現実の社会から隔離されているという理想の「桃源郷」に逃避したい者が多く存在することを、可視的データを使って証明したことであり、そして、民主主義が後退し、独裁体制が確立すれば、現実の社会から離れ、とくに政治に巻き込まれたくない者を救済する桃源郷が、事実上存在しえないことを掲示したことである。
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