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2018 年度 実施状況報告書

ミャンマーにおける民族知とそのパブリシティに関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03283
研究機関広島大学

研究代表者

高谷 紀夫  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70154789)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードミャンマー / 民族知 / パブリシティ / 人類学 / シャン
研究実績の概要

本研究の主目的は、多民族国家における多様な「民族知」の共存の動態を、パブリシティの視角から、ミャンマーを事例として人類学的に明らかにすることにある。
平成30(2018)年度は、「民族知」をめぐる共時的研究として、ミャンマーの代表的な少数民族であるシャン族の文芸文化保存委員会に対する臨地研究を実施した。具体的には、(1)1999年に組織化された全国組織、(2)ヤンゴン管区(地方域)の組織、(3)マンダレー管区(地方域)の組織の執行部が対象であった。その結果、(2)(3)が、独立前後に遡るヤンゴン大学、マンダレー大学内の学生組織を重要な基盤として組織化されたという共通性が明らかになった。他方、マンダレーの場合は、社会福祉に関する組織が別途形成されているのに対し、ヤンゴンの場合は、同じ組織が対応している。その理由として、マンダレーがシャン州からの移住者が多いことを背景に、「シャン」が、エスニシティよりも、出身地域、すなわちシャン州出身者を意味していることが明らかになった。
また民族知の研究機関であるヤンゴン大学人類学部・マンダレー大学人類学部スタッフとの情報交換と共有を行い、今後の研究方向について意見交換を実施した。さらに在ミャンマーの東南アジア諸国連合教育大臣機構 (SEAMEO Chat Regional Centre)での国際会議で、日本の事例との比較で招待講演を実施した。
2019年3月20日が「パオ族の日」に当たり、ヤンゴンでその開会式を参与観察する機会を得た(タウンジー、首都ネピドー、東京でも同様に開催されていると聞いた)。同式典においては、有形無形のパオ文化が披露され、パオ「民族知」のパブリシティ向上に寄与していることは明らかであった。来賓には、他民族の代表を招待されており、ミャンマーにおける「民族知」の動態を探求する良い機会となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミャンマーにおける民族知とそのパブリシティの主体である文芸文化委員会とのインタビューが実現し、継続して研究協力を仰ぐことが可能になった。また以前より継続しているヤンゴン大学人類学部・マンダレー大学人類学部スタッフとの情報交換と共有も実施することができた。進捗状況の現状は、シャン族が中心であるが、パオ族の現状を把握できたことも成果のひとつである。従って、一定の進捗状況は達成している。

今後の研究の推進方策

令和元(2019)年度は、前年度に続き、「民族知」をめぐる共時的研究を深化させる。研究協力関係にあるミャンマーの各民族文芸文化委員会、大学関係者と連絡を保持しながら臨地研究を実施する。可能ならば、ミャンマー研究者を所属大学に招聘し、ワークショップを開催する。また翌年度が最終年度であり、総合的考察による成果報告についても準備を開始する。

次年度使用額が生じた理由

平成29 (2017) 年度に、別の外部資金を得て国内出張、及び海外出張を実施することができたことが、平成30 (2018) 年度の使用状況にも影響したため。平成30 (2018) 年度は、当初の予定通り、海外出張を複数回実施して、次年度使用額を少なくすることができた。その使用計画の方針は、令和元 (2019) 年度も継続し複数回の海外出張を準備しており、すでに現地の受入研究機関から内諾を得ている。またそれに伴う人件費・謝金などでも使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Water and Prayer in Japan2018

    • 著者名/発表者名
      TAKATANI Michio
    • 学会等名
      The international conference on Traditions of Water: Beliefs, Practices and Transformation, SEAMEO Chat Regional Centre, MYANMAR.
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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