再生産労働の国際分業が進展するなかで、女性だけでなく、男性も、国境を越えて、家事労働者、あるいは看護師、ケア労働者として就労する事例が増えてきた。本研究では、これら男性の再生産労働に従事する移住労働者に焦点をあて、同じ国にルーツを持つが、異なる国で異なる職種で就労する男性移住者の経験を比較し、専ら女性移住者、特に家事労働者に注目を注いできた国際移住研究を相対化することを試みた。具体的には、フィリピン出身で、イタリアで家事労働者として就労する男性と、イギリスで看護師として就労する男性の社会関係とアイデンティティの再構築プロセスを記述分析し、その結果を比較した。
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