令和2年度は、前年度に引き続き、日本統治期に作成された韓国大邱市の旧土地台帳を中心に、個人レベルでの土地所有に関する具体的な実態を調査し、在朝日本人の歴史を記録・解明することを目指した。具体的な研究内容は以下のとおりである。 ①釜山国会記録院に保管している韓国大邱市の旧土地台帳の記録を確保した。コロナ渦により韓国へ渡航することができず、現地の人に出張を依頼して以下羅列する18の行政区域の旧土地台帳の記録を入手した。西門路1街洞(本町)、西門路2街洞(本町)、西也洞(横町)、仁橋洞(堅町)、大安洞(大和町)、香村洞(村上町)、南一洞(南町)、壽昌洞(八雲町)、壯觀洞(西千代田町)、東一洞(東千代田町)、前洞(前町)、射一洞(弓町)、桂山1街洞(明治町)、桂山2街洞(明治町)、東門洞(東門町)、太平路1街洞(幸町)、太平路2街洞(幸町)、市場北路(市場北通) ②コロナ渦により土地台帳に記録されている場所の現状を確認するための大邱市でのフィールドワークが出来なかったが、日本国内の公文書館及び図書館を中心に、大邱市関連資料収集(画像、地図、記録物など)を行った。調査を実施した資料館は、福岡県公文書館、佐賀県公文書館、熊本県立図書館、宮崎県文書センター北九州市立文書館、山口県文書館、沖縄県公文書館、大阪府公文書総合センター、国会図書館などである。 ③コロナ渦により調査や分析が進行中であるが、今後以上の研究成果をもって、日本統治期における大邱府で生活していた在朝日本人の土地所有の状況を年度別、行政区域別に分類し、資料集もしくはネット発信を通じて研究者の間で共有できるシステムを構築する予定である。また、これまでの分析の結果は、今年度中に論文の投稿を通じて社会的還元を行う予定である。
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