研究課題/領域番号 |
17K03290
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
澤井 充生 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (20404957)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 植民地人類学 / 皇民化政策 / 回教工作 / 歴史記憶 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本軍の皇民化政策を経験した中国ムスリム(回民)に注目し、彼らおよびその遺族の記憶および言説を歴史民族誌として記録・保存することにある。具体的な方法として、日本軍の皇民化政策を経験した回民とその遺族の記憶および言説を口述資料として収集し、現地の情報提供者や研究者の様々な解釈を盛り込みながら、多声的民族誌の記述・共有を目指す。 2017年度は初年度にあたり、内モンゴル自治区フフホト市、遼寧省瀋陽市、北京市において予備的な文献調査およびインタヴュー調査を実施した。まず、内モンゴル自治区フフホト市では回族の名士の協力を得て、日本軍を見聞きしたことがある古老数名やその遺族に対してインタヴュー調査を実施することができた。古老たちの語る体験談は非常に断片的なものではあるが、これまでの文献研究の不備を補足しうる貴重な情報を提供するものであり、資料的価値が高い。次に、遼寧省では瀋陽市の回回営および清真寺(モスク)を訪問し、旧満洲国時代の史料を参照しながら清真寺の分布・回民社会の縮小状況を把握し、また、満洲国時代を知る回民の古老について回族の情報提供者から情報を提供してもらうことができた。最後に、北京市では牛街、馬淀、埠成門、天橋、安和橋などにある清真寺を訪問し、日本軍占領期を生きた回民の生活状況(例えば、牛羊業、駱駝運送業)について回族の古老から具体的な話を拝聴し、1949年以前の清真寺や回民の様子を記録した資料を入手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は、当初の予定通り、現地において中国共産党・政府関係者や回族研究者から多大な協力を得た結果、文献調査および現地調査(インタヴュー調査、参与観察)を効率的に実施できている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降の研究課題の遂行においても中国共産党・政府や教育機関の協力者と緊密な連携関係を維持しながら現地調査を実施し、その調査成果を日本国内において研究会を企画・実施し、学術的な議論の深化を目指し、最新の調査・研究成果を対外的に発表する。
|