研究課題/領域番号 |
17K03292
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研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
謝 黎 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (30424295)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 華人女性 / 旗袍(チャイナドレス) / 民族衣装 / ジェンダー / 身体 / 化粧 / アイデンティティ / 社会性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、華人女性の衣生活と化粧文化に焦点を当てることにより、過去1世紀半にわたる中国内外の華人社会における「女性性」と「社会性」との関わり方を探ることである。初年度調査の結果を整理、吟味しつつ、第2年度の調査計画の詳細を確定した。研究テーマに関するファッション・民族衣装・ジェンダー・身体・化粧などの資料を収集し、関連文献との突合せを行った。文献調査を通して、本研究の社会的背景や先行研究などを把握し、問題意識を再確認した。 フィールドワーク調査は、8月から9月にかけて、台湾や上海、北京への文献収集と聞き書き調査などを行った。 台湾では、台湾華人に関する資料館での資料収集も行った。女性と身体、民族衣装とのかかわりについて、台湾大学の張小虹教授と意見交換した。また、台北にある民族衣装を販売する店や製作するデザインナーなどへの聞き取り調査を実施した。とりわけ、台湾漢人の「伝統服」や「民族服」にまつわる問題や、華人社会における「自己」と「他者」を区別するために、何を身につけるのか、衣装と化粧の役割についての聞き取り調査を行った。 上海や北京では、上海図書館や北京服装学院博物館や図書館での、19世紀後半から21世紀までの雑誌・新聞・写真・論文資料を収集し、チャイナドレスや漢服に関する聞き取り調査も行った。また、予定していた9月のマレーシアの現地調査を変更し、フィールド調査から入手したデータの整理と分析に時間を費やすことにした。 これらの調査を通して、次年度の研究についてより明確な問題意識を持つことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに文献収集と現地調査を実施し、たくさん貴重なデータを取得することができた。しかし、データの整理と分析に思ったより時間がかかったため、より円滑に次年度の調査を実施するために、マレーシアの現地調査を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、関連文献を収集するとともに現地調査の結果をふまえた上で、さらに問題関心に沿って具体的に調査していく。 これまでの調査データを整理し、研究報告書の大まかな章立てを作成し、調査の構造化を行う。 現地調査は8月から9月を目途に行う。前年引き続き、台湾華人社会と雲南や貴州の少数民族社会を実施する。調査方法は前回と同様である。 台湾では、チャイナドレスを制服として使われている仏教団体に聞き取り調査を行う。また、「繍花房」「桂花衣」「晰奇坊」などの民族服や伝統服にまつわる詳細を調べる。台湾華人社会における「自己」と「他者」を区別するために、どのようにして表すのか、衣服と化粧の役割を調査する。 計画書では雲南の少数民族を調べると予定していたが、昨年の現地調査で得た情報によって、貴州省の苗族に変更する可能性も出てくるが、いずれにしても、少数民族側からみた旗袍(チャイナドレス)のことを中心に調査する。現地では、苗族の祭りの際に着用された旗袍の実態について調べる。苗族は自分の民族衣装があるのに、なぜ大事な儀礼のときに、チャイナドレスを着るのか、といった疑問に突きつける。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は東・東南アジアでの現地調査を軸とするものであり、そのため華人が住む都市部およびその周辺地域への旅費・宿泊費が生じる。また、現地調査にあたって、アンケート回答者やインフォーマント(運転手の報酬を含む)に対する謝金などが必要となる。具体的に、①文献資料などの物品費は70千円、②現地調査の旅費430千円、③人件費や謝金100千円
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