フランスの仏領ポリネシアにおける核実験の影響について、実験地のムルロア環礁とファンガタオファ環礁に近く前進基地であった、ツアモツ諸島のハオ環礁および仏領ポリネシアの政治経済の中心であり、各反核団体の本部があるソサエティ諸島のタヒチ島を中心に平成30年度に引き続きフィールドワークを実施した。ツアモツ諸島ハオ環礁においては、住民に核実験期の暮らしについて聞き取り調査と実施するとともに、中国資本の養魚場プロジェクトについての住民それぞれの意見についても聞き取り調査を行った。また、今回は、新たに女性たちを中心に核実験期の彼女たちの暮らしについて聞き取り調査を実施した。 タヒチ島においては、主に核実験施設の元労働者支援団体ムルロア・エ・タタウの幹部に聞き取り調査を行い、会議などに同席させてもらった。ムルロア・エ・タタウの文献資料を平成29年度に調査させてもらっており、その資料の整理を始めた。 平成30年12月に開催されたEuropean Society for Oceanistsにおいて、ハオ環礁の養魚場プロジェクトへのツアモツ人住民の意見について世界システム論と関係づけながら"Hope and anxiety: the fish farm project in Hao after the CEP"と題した口頭発表を行った。また、平成31年1月には日本オセアニア学会関東例会において、「希望と不安―核実験後のツアモツ諸島ハオ環礁における養魚場プロジェクト―」と題した口頭発表を行い、同じく平成31年1月に国立民族学博物館の共同研究、『放射線影響をめぐる「当事者性」に関する学際的研究』において、「仏領ポリネシア核実験の元前進基地ハオにみる当事者性」と題して口頭発表を行った。
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