本研究は、フランスがフランス領ポリネシアで実施した核実験の人びとの生活への影響を研究するものである。核実験期に前進基地であったハオ環礁の環境汚染・健康被害と地域再建に向けた開発事業への住民の声を収集し、身体実践を参与観察した。そこでは、住民が核実験による環境・健康被害を抱えながら、地域再建を目指し開発事業に従事するのには、核実験以前の伝統的な生活ではなく、西欧の物資が入り、経済的に豊かであった核実験期の生活を取り戻すためであること、さらには、ハオ環礁住民であっても、個々の核実験の影響の受け方が異なることがわかった。
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