研究課題/領域番号 |
17K03302
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
椿原 敦子 龍谷大学, 社会学部, 講師 (00726086)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 宗教儀礼 / アソシエーション / 都市 |
研究実績の概要 |
2017年度は、次年度以降に実施する調査を行う準備として、過去に実施した調査成果の発表、研究課題に関連する書籍や雑誌の収集、調査協力者への協力要請を行うと共に、(1)儀礼アソシエーションからの聞き取り調査、(2)宗教用品市場についての調査を行った。 (1)に関しては、テヘラン市南部と北部にて、儀礼アソシエーション設立の経緯や活動概要に関する聞き取り調査を行った。儀礼アソシエーションは地縁・血縁の他に同業者による業縁を基盤とすることが確認され、この点は過去に実施した調査の結果とほぼ同じであった。しかし、これまでの調査では組織の設立・運営についてメンバーの平等性が強調されてきたのに対し、今回の調査では特定の者のリーダーシップやその世襲的継承が強調される事例が見られた。こうした違いが、設立年代や活動地域、運営者の属性などとどう関係しているのかを明らかにすることは、今後の研究課題である。 (2)に関しては、テヘラン市南部のバザールで大型宗教用品を扱う店舗からの聞き取り調査を行った。この調査から、多くの店舗が一年のうち一定期間のみ宗教儀礼用品を扱っていること、そうした店舗が近年増加しつつあることが明らかになった。本調査からテヘラン市での儀礼の隆盛と市場経済との関係について、更に調査・分析を進める予定である。 収集したデータの一部は現在も分析中であるが、総じて今年度の研究では、儀礼アソシエーションの内部と外部の社会秩序の接合について考察する機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は研究計画の初年度であり、3年間の計画を実施するための研究体制の整備の年度として位置づけ、次年度に実施するフィールド調査の準備と読解と分析を進める文献資料(『ヘイメ』など)の収集を中心に行った。その結果、先行研究では着目されてこなかったペルシア語の雑誌資料の合本などを収集することができ、文献資料面で当初の計画以上の成果が得ることが出来た。またイランにおいては盛大に宗教儀礼が行われる月であるイスラーム暦の1月ムハッラム月の調査を次年度以降に実施するために、ムハッラム月前に予備調査を実施し、参与観察や聞き取り調査計画を実行するための手はずを整えた。 しかしながら研究成果の発信という面では、国外での口頭発表にとどまっており、論文等の文字媒体での研究成果発信を充分に行うことが出来なかった。それゆえ研究体制の基盤整備と言う点での予想以上の進捗と成果発信の現状の両者を勘案し、おおむね順調に進展していると自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度および最終年度において、今年度に行った現地イランでの予備調査を反映したフィールド調査を実施するとともに、更なる文献資料の読解を進めていく。また今年度の課題として挙げた研究成果発信についても、これまでに研究を進めてきた1979年のイラン革命以降の国内外のイラン人を取り巻く宗教環境についての研究成果を本研究に補完/応用し、積極的に研究成果の発信を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画当初においては、本年度においても現地調査を本格的に実施する予定であったが、現地調査を有効に実施するために行う予備調査に変更するとともに、予備調査期間を一週間程度と短縮したためによる。2018年度には当初の予定である1ヶ月間のフィールド調査に加え、当該予算による2週間程度のイラン国立図書館をはじめとした文書資料保存施設での資料収集を行う予定である。
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