研究課題/領域番号 |
17K03304
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
上田 達 摂南大学, 外国語学部, 教授 (60557338)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 東ティモール / 都市集落 / 和解 / カトリック / lulik |
研究実績の概要 |
2019年度の主たる研究成果は、1)インドネシアおよび東ティモールにおいて資料収集と現地調査を実施したことと、2)中間的な成果報告の一環として、国際学会のパネルにおいて研究報告を行ったこと、の二点に集約できる。 1)については、まず、2019年度8月30日にインドネシアのジャカルタにおいて、インドネシア支配期の東ティモールに関する資料を収集した。同31日に東ティモールに渡航した後は、従前より調査を行ってきた都市集落を再訪して、最新の動向の捕捉に努めた。また、都市集落の和解儀礼で看取された「青年の十字架」と呼ばれる信心業に関する情報収集を行った。1年ごとに東ティモール各地を巡行する十字架が、2019年は西部のボボナロ県にあったため、同地に赴いて二つの集落を訪問して聞き取り調査を行った。また、新たに文化的モニュメントが設置されたエルメラ県の山間部の集落も訪問して、聞き取り調査を実施した。 2)については、2019年7月にオランダのライデンで開催された The International Convention of Asia Scholars(ICAS11)に参加して、研究報告を行った。同学会では、東ティモール研究者2名と報告者の計3名から構成されたパネルにおいて、これまでに得られた研究成果をもとに、Bearing Faith and Wearing Belak: A Study on the Belief in Contemporary Timor-Leste と題した報告を行った。パネルは、東インドネシアで長きにわたってフィールドワークを行っている研究者をコメンテーターとして招聘して、現代東ティモールにおける宗教とナショナリズムや、社会的紐帯の形成に関して議論を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年8月-9月の調査は、勤務先の海外学習プログラム関連業務があったため、想定していたよりも調査期間を短くせざるを得なかった。都市集落と地方社会との関わりについて、青年の十字架という信心業に注目して研究を進めているが、地方での調査のための時間が十分に確保されているとは言いがたい。現地での交通手段が整備されていないことも原因の一つに挙げられる。これらを補うために2020年2月-3月の時期に現地調査の実施を予定していたが、新型コロナウイルス流行拡大の影響によって、現地渡航そのものを断念せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年2月-3月にかけて予定していた現地調査が、新型コロナウイルス流行拡大に伴う渡航禁止によって実施できていない。例年通りであれば8月-9月の時期に渡航することが可能であるが、先行きは未だ見通すことが出来ない。まずは収集してきた資料や文献に関する文献研究を継続しながら、それらの中に、これまでの調査で得られた知見をどのように位置づけうるのかを慎重に検討する作業を行っていく。また、研究成果の公表についても、同様の問題に直面している。各種学会の開催も危ぶまれているが、発表できる場所や媒体を可能な限り確保して、研究成果の公表に努めたい。
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