研究課題/領域番号 |
17K03304
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
上田 達 摂南大学, 外国語学部, 教授 (60557338)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 東ティモール / ディリ / 都市集落 / 和解 / カトリック / 青年の十字架 |
研究実績の概要 |
最終年度に当たる2020年度は、これまでに続けてきた現地調査をフォローアップする補足的な調査と、国内外での学会報告などにおける成果公表を計画していた。しかし、2019年度末から続くコロナ禍によって、業務のルーティンが大きく変化したこともあって、研究計画の大幅な計画の変更を余儀なくされた。 現地に渡航しての調査は全く行うことが出来ておらず、実現できるかどうかの見通しも立っていない。そのため、これまでに収集したデータや情報の整理に努めたほか、関連する文献収集を行い講読を進めた。 成果の公表については、2020年9月にポルトガルのコインブラ大学で開催される予定だった東ティモール研究組織(Timor-Leste Studies Association)主催の国際学会がオンラインで開催されたため、参加することが出来た。同学会では、これまでの研究において得られた成果について発表した(発表タイトル“Cruz Joven (Youth Cross) in Timor-Leste: How the Cross travels around districts?”)。都市部の集落のみならず、東ティモール全土を巡行する「青年の十字架(Cruz Joven」と呼ばれる十字架が、どのような経緯で東ティモールにもたらされたのかを示した。世界的な青年カトリック運動と、東ティモールにおける独立に向けた気運の高まりのなかで、十字架を巡行する慣行が東ティモールに導入された。報告では、一年ごとに十字架が全国を巡るこの慣行が、カトリックとlulikや祖先崇拝などのローカルな信仰の双方の要素を包摂するものであり、都市と地方をつなぐ想像力を人々にもたらしていることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度末から続くコロナ禍によって、2020年度は研究計画の大幅な変更を余儀なくされた。現地への渡航が出来なくなっているため、2020年度に実施を予定していた補足的な調査や、成果報告についての現地での発表などは、実施することが出来なかった。コロナ禍による勤務先での業務形態の変更への適応にも時間を大幅に割かれており、研究成果をまとめるための準備にも支障を来しているのは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
現地への渡航は先行きが未だ不透明であるため、これまでに得られた調査成果をもとに研究成果の発表を進めていく。国内外の学会ではオンラインで開催されているものも含めて、研究成果の発信に努める。2020年の研究発表にもとづく論文は2021年度中の刊行を目指しており、他の媒体も視野に入れつつ研究成果の公表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末から続くコロナ禍によって、予定していた海外渡航が全く実施出来ない状況になっている。そのため、東ティモールでの現地調査および成果公表のための旅費が執行できなかったほか、国際学会がオンライン開催になったため旅費が不要になり、計画した予算を大幅に下回ることになった。2021年度もひきつづき海外渡航が困難である状況に変わりはないが、状況が改善し次第、現地への渡航を実施したい。
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